中国雲南、和服着用の観光客に罵声 愛国心めぐる議論ぼっ発

2022/02/18
更新: 2022/02/18

中国雲南省の観光地で13日、和服を着ていた女性が通行人らに糾弾され、その場を追い出される事件が発生した。愛国心のあり方をめぐって論争が巻き起こった。

事件が起きたのは中国・雲南省大理の観光スポット「洱海湖」。

現場の様子を捉えた映像によると、警備員らしき男性が写真撮影していた若い男女4人(うち女性1人が和服姿)に対し、「ここは中国だ」「先祖の恥だ」などと声を荒げた。

若者らは「不条理だ」「和服を着てはいけない法律でもあるのか?」と反論した。警備員はさらに「南京大虐殺を忘れたのか」などと畳み掛けた。

口論をあきらめ、その場を離れようとする若者らに、別の年配女性が「亡国の民」「大理から出て行け」と罵声を浴びせた。見物していた通行人らが歓声を上げた。

騒ぎの様子を撮影した動画は中国のSNSで拡散され、複数の中国メディアが取り上げた。これをきかっけに「愛国心のあり方」をめぐって論争が勃発した。

民族感情から和服への嫌悪感を理解できる」とするコメントが多いなか、中国版ツイッターの「ウェイボー(微博)」では、攻撃された観光客を不憫に思う声も上がっている。

「ちょっとやり過ぎ」「特別な場所や状況でなければ、和服を着て写真を撮るくらいは問題ないはずだ」「なぜ生活を政治化するのか?理解できない」

「日本の民族衣装を嫌うのも受け入れるのも、個人の自由だろう」と投稿する人もいた。

騒動を受け、中国メディアでは「和服は中国人の民族感情を傷つけるような敏感な時期や場所で着るべきではない」と指摘しながらも、「偏狭な愛国主義は良くない」「愛国にも理性が必要」と呼び掛ける記事を掲載した。

さらに、「いつか、アニメ服や日本車、外国ブランドの携帯電話なども攻撃されかねない。愛国の旗印を掲げて、個人への攻撃行為を許せば、誰も安全でいられなくなる」とした。

中国では近年、和服姿の市民が通行人から罵られる事件が何度も起きている。

南京事件の「国家追悼日」に当たる昨年12月13日、追悼日であることを知らずに和服を着た浙江省の女性が、警察から「批判教育」を受けた。女性は自らの過ちを認識して、謝罪した。

(翻訳編集・李凌)

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