2019年に中国当局の宗教弾圧から逃れるため、韓国の済州島(チェジュ島)に渡った中国のキリスト教信者60人が、中国に強制送還されるという問題に直面している。米国営放送ラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
韓国高等裁判所に亡命申請を出したのは中国深セン市にあるキリスト教会の信者ら。だが、申請が却下される可能性が高いとみられる。中心メンバーの潘永光牧師は1月24日にRFAの電話取材に応じ、亡命に踏み切った理由や現状などを説明した。
18年2月、信仰の自由を認めない中国政府の「宗教管理条例」に反対する署名活動に参加したことで、信者たちに対する当局の取り締まりがエスカレートし、多くの人が逮捕された。
19年に香港で大規模な民主化運動が起きた際、深セン市警察当局は礼拝を含むすべての集会を禁止すると通達してきた。
信教の自由への脅威が高まるなか、教会の16世帯、31人の子どもを含む信者60人は19年10月末に済州島に集団脱出した。
済州島は外国人がビザなしでも一定期間の訪問が可能なため、目的地として選ばれた。
済州島訪問からの2年間は、言葉の壁から生活、医療、教育の面で苦労を強いられたという。子どもたちは学校にも入れず、大人たちは仕事が見つからないため、みかん収穫などの臨時アルバイトで生計を立てた。
島にある中国領事館、華僑協会、中国留学生団体から時々、脅しの電話がかかってくる。
ここ2年間、韓国の移民局や法務部に政治亡命を申請しても却下され続けている。一部の人が韓国地方裁判所に難民訴訟を起こしたが敗訴した。1月26日に韓国高等裁判所はその控訴審を開く予定。
「韓国で合法な滞在期間はあと14日しかない。その後は不法滞在者になってしまう。韓国政府の保護を受けられなくなるため、我々は危険な状況にさらされる」と同牧師は不安を隠せなかった。
彼らを支援する米国のキリスト教人権団体「対華援助協会」会長の傅希秋牧師はRFAの取材に対して、「韓国の現政権は中国政府に弱腰すぎる」と批判した。
済州島外国人出入国管理事務所の女性職員は、その難民申請却下の理由を問い合わせたRFA記者に対して、「理由を第三者に伝えることはできない」と説明を拒否した。
(翻訳編集・叶子静)
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