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DJI製ドローン 家中で試験飛行 即警察に連行され

2025/12/02
更新: 2025/12/02

上海で中国のDJI製ドローンの試験飛行直後、警察が来訪し連行。データの管制が恐ろしい。

最近、上海在住のネットユーザーがSNS上で、「自宅で新しく購入したDJI製ドローンを試しに飛ばしたところ、わずか一分も経たないうちに警察が自宅に来て自分が連行された」と投稿した。このネットユーザーによると、警察は派出所で数時間にわたり事情聴取を行い、供述内容を筆録したうえで、最終的には「誤った操作」として処理したが、その一連の経緯に強い衝撃を受けたという。

12月1日、ハンドルネーム「@jackygu2020」を名乗るこのユーザーはSNS「Threads」に投稿し、「ドローンが届いたので、室内でおよそ20秒試験飛行を行い、正常に動作することを確認した後、すぐに電源を切った」と述べた。しかし間もなく、2人の警察官が自宅を訪れ、彼を派出所へ連行したという。当局が提示した証拠には、ドローンが撮影した室内の写真、飛行軌跡の記録に加え、ドローン購入時のチャット記録や物流情報が含まれていた。

この事件で最も議論を呼んでいるのは、ネットユーザーが言及した技術的な詳細である。彼は「Wi-Fiは切っていたし、自宅ではGPS機能も利用していなかった」と説明したが、それにもかかわらず警察がドローンで撮影された写真や飛行記録を把握し、さらに購入記録やチャット内容を短時間で照会できたことについて、「理解できず、とても恐怖を感じた」と述べた。

この件について、記者は深圳でドローン関連ビジネスに従事するネットワーク技術アナリストの華敏氏に確認した。同氏によると、「こうしたデータの取得は、現行の技術では十分に可能である」という。「ドローンのアプリケーションは通常、機器をアクティベートしたり試験飛行したり起動したりする際に、自動的にフライトログやサムネイル画像などのデータを生成し、スマートフォンがインターネットに接続するとメーカーのサーバーへ送信する仕組みになっている」と説明した。

さらに華敏氏は、「この種の機器はアメリカやヨーロッパなど外国に輸出される場合でも、デバイスのシリアル番号、スマートフォンに紐づくアカウント、通信事業者のデータなどがバックエンドで同期されている可能性がある」と指摘した。「一度アカウントと電話番号が紐づけられると、通信キャリアが保有する大量のデータが、自動的に中国の公安の監視システムと共有される仕組みになっている可能性がある」とも述べた。

華敏氏はまた、「自身が関与した事例でも、中国産の電子機器はネット接続機能を持っていれば、理論上メーカーが遠隔管理の権限を保持している。これは『中国製』ルーターのように広く使用されている機器でも同様である」と語った。

ちなみに、DJIは日本において、ドローンやハンドヘルドカメラ、ジンバル、マイクなどの多様な機材を販売している。多くの機材はスマートフォンアプリを利用しており、スマートフォンと連携している。

データ利用とプライバシーをめぐる論争が拡大

今回の事件で最大の論点となっているのは、警察がどのような経路でネットユーザーの飛行データや写真を入手したのかという点である。専門家の孫大平氏は、「中国のドローンメーカーは監督・管理上の要請により、通常『必要なデータ』を当局へ提供することになっている」と説明する。

「多くのデータはユーザーのデバイスから生成されたものであるが、ネット接続された時点でクラウドへ同期される可能性がある。また、ECサイト、通信事業者、プラットフォーム上のチャット記録なども、警察が要請すれば提供しなければならない」と述べた。

ネットユーザーが提供した情報によると、警察は短時間のうちに複数のプラットフォームからデータを統合したという。その中には、ドローンの飛行ログや写真のキャッシュ、ECサイトでの購買・配送情報、チャット記録に加え、電波探知による位置情報などが含まれていた。孫大平氏は、「これらの細部から、中国本土ではドローン管理における技術的な統合度が非常に高いことがうかがえる。その一方で、データの取得範囲や運用の透明性に対して、市民が不安や恐怖を抱くのも当然である」と語った。

沈越