「官位売買」「隠蔽」「乱れた男女関係」中国元警官、警察内部の腐敗ぶりを証言 

2022/01/17
更新: 2022/01/17

中国の元警察官だった李洪順さんはこのほど大紀元に、中国警察内部の官位売買、略奪、性の乱れといった不正・犯罪の実態について証言し、その腐敗ぶりから「中国共産党体制はもう長くない」と語った。

黒龍江省ハルビン市在住の李さんは、20年以上の警察勤務経験を持つという。警察体制内の腐敗を見かねて、早期退職して家族とともに米国に渡った。

警官飛び降り自殺の裏

ハルビン市公安局は2002年、内部昇進・昇格試験を実施した。当時、上層部の実力者に大金を貢いで昇進・昇格のチャンスを「買う」のは公然の秘密だった。

試験が終わり新しい人事が一段落してまもなく、ある支局の警官が市公安局の建物から飛び降り自殺した。身を投げる直前に、自殺の理由を告げたビラを屋上から大量にばらまいた。

市公安局の警官全員が緊急出動して周辺を封鎖し、ビラをすべて回収した。この件は「警官はビルから誤って転落」と片づけられ、真実は闇に葬られた。

なぜ自殺したのか。同市公安局トップの王維緒局長に約30万元(約550万円)の賄賂を渡し、いったん部長職への昇格を約束されたが、王局長はカネだけ受け取って、「仕事」をしなかった。

大紀元記者が収集した中国当局の公開情報によると、公安支局の幹部だった王維緒氏は2002年にハルビン市公安局の局長に昇進し、その後、同市副市長、市共産党委員会の主要ポストに上り詰め、出世街道を順調に突き進んでいた。

王維緒局長の後任の任銳忱氏はさらに強者だった。

ハルビン市公安局局長に就いたとき、任氏は13の炭鉱を所有していた。炭鉱町の公安支局長に就任してから、口実をつけて炭鉱所有者らを刑務所に送り込み、その炭鉱を次々と自分のものにした。友人との酒の席で酔い潰れた任氏は、「炭鉱を2つ売って、約3億元(約54億円)を工面して現在のポスト(ハルビン市公安局長)を手に入れた」と漏らした。

「大金を注ぎ込んでも間違いなく回収できる」と李さんは言う。

実際、任銳忱氏と同クラスの高官には金持ちの人がたくさんいる。任氏は口が軽く内情をしゃべったため、後に汚職容疑で失脚した。

中国当局の公開情報によると、2020年3月、ハルビン市中国共産党委員会の常務委員、政法委員会書記に昇進した任銳忱氏は解任されて取り調べを受けた。

事故死者数の隠ぺい

2020年8月4日、ハルビン市で工場の倒壊事故が発生した。現地メディアは生存者はおらず、9人死亡と報じた。

ハルビン市道里区城安街3号にある同4階建ての工場ビルは床面積約5000平方メートル以上で、複数企業の工場が稼働していた。事故直後に現場に立ち会った市司法当局に務める李さんの実兄は、実際の死者は二十数人だったと話した。

警察内部の男女関係

ある女性の同僚が課長クラスに昇格した。同僚が彼女に、いくら渡したのかと聞くと、彼女は「カネなんか使わない。私は体を捧げたのだ」と平気な顔で言った。

検察庁が某地方公安支局長の不正を調べたところ、管内の女性警官全員と肉体関係を持ったことがわかった。

李さんは「以上は私が知っていることで、私の知らないことが実はもっとたくさんある」と話した。

戦時中の人喰い

李さんの祖父の兄は抗日戦争を経験した共産党の高官だという。終戦後、学校で教育を受けたこともない祖父の兄は、革命の功労者として地方の大手国営企業のトップに任命された。

李さんは幼い頃、祖父の兄から戦時中のことをいろいろと聞かされたという。

中国政府が美談としていまだに宣伝している共産党軍の「長征」は、実は国民党軍に敗れて徒歩で1万2500キロも敗走したのだった。李さんの義祖父の話では、当時は確かに食料不足により人の共喰いが起きていた。

「息絶えたばかりの重傷者はもちろんだが、お荷物になる重症者も背後から一発撃って、食糧にされた」

李さんは5年前に早期退職し、米国に渡った。「中国(共産党)は数年後に歴史の教科書にしか存在しなくなる」と周囲によく言い聞かせているという。「その日は迫っていると思う。その実態を知ったから言えることだ」

(記者・李新安、翻訳編集・叶子静)