元軍最高幹部・劉亜洲氏を拘束の情報 党大会にらみ権力闘争激化か

2021/12/26
更新: 2021/12/26

中国空軍の元上将で国防大学政治委員だった劉亜洲氏(69)が当局に拘束されたとの情報が流れている。劉氏の親族は24日、大紀元に対してこの情報が事実だと述べた。毎日新聞も23日、情報筋の話として同氏の拘束を報じた。

中国当局は公式発表を行っていない。

劉亜洲氏は、故李先念元国家主席の娘である李小林・前中国人民対外友好協会会長の夫。中国軍の最高位階級の上将を務めたほか、中国共産党第18期中央委員会委員でもあった。2017年に政界を退けた。

党批判の発言が仇に?

最高指導部を知る紅二代(共産党の元高級幹部の子弟)の1人は、匿名で大紀元の取材に応じた。

「劉亜洲氏は『民主主義』など、党中央の思想にそぐわない発言してきた。習近平氏は同氏のこうした言動に不満を抱いている」と両氏の不仲を指摘した。

習近平国家主席は来年の党大会で3期目の続投を狙っている。党大会開催前の今は習氏にとって「正念場だ」、と在米中国人学者の呉祚来氏は分析する。習氏が再選をできなければ、自身や側近も粛清されるだろうという。

「党内には一部の長老とその勢力がまだ残っている。来年、習近平氏が再選しさらに5年間最高指導者の座にとどまれば、長老とその家族の影響力は完全に排除されてしまうことになる。党内権力闘争の激しさがさらに増していくだろう」と呉氏は述べた。

波紋を呼ぶ数々の発言

同氏は2010年、国防大学政治委員として、中国誌「鳳凰週刊」のインタビューに応じた際、米国の民主主義制度を称賛した。市民に自由に呼吸させない者は「必ず滅びる」と共産党批判を展開し、中国は10年内に民主主義体制に転換すると予測した。

いっぽう、対日強硬派でもある。同氏を含む軍内タカ派勢力は2008年、日中両国が合意した東シナ海ガス田共同開発を批判していた。中国の複数の都市で反日デモが発生した2010年10月、戦争賠償金を求めるなど日本に強硬な姿勢を示すべきだとする論文を発表した。

中国国防省サイトに2015年10月、同氏の論文が掲載された。同氏は「日本海軍は開戦後、4時間で中国東海艦隊を殲滅すると豪語している。笑い話とは言えない。中国は勝てなければ国際問題が国内問題になる」と両国の対立をエスカレートさせるべきではないとの見解を示し、現実的な愛国主義者の一面を持つ。

2017年10月に開く党大会に先立ち、習近平氏は軍の中枢人事を刷新し、劉氏も更迭された。劉氏はその後、政界を引退した。

習近平氏は徐才厚元中央軍事委員会副主席ら江沢民派の旧部を一掃するとともに、紅二代のタカ派を抑制する狙いがあるとみられる。

(翻訳編集・張哲)