ポーランドに数千人の移民押し寄せ ベラルーシ意図的に流入か

2021/11/09
更新: 2021/11/09

ベラルーシからポーランドの国境沿いに数千人とみられる移民が押し寄せ、ポーランドが軍を派遣するなど、緊張が高まっている。欧州では、ベラルーシが中東などからの移民を意図的に越境させているとの批判が強まっている。

ポーランド政府は8日、ベラルーシとの国境付近に3000〜4000人の移民が集まっており、さらに数千人以上がベラルーシ経由でポーランドへの入国を目指しているとの見方を示した。1万2000人以上の兵士を配置し、国境警備に当たったとツイッターで明らかにした。

ここ数カ月、中東やアフリカなどから移民がベラルーシを経由してEU加盟国のポーランドやリトアニアに不法に越境するケースが急増していている。ベラルーシのルカシェンコ大統領は黙認する姿勢を示している。

ルカシェンコ政権は、昨年のベラルーシ大統領選に不正疑惑があったと主張する市民や独立メディアを弾圧した。EUは今回の移民流入は、同政権に対するEUの制裁への対抗措置だと非難している。これに対し、ベラルーシの国境警備局は「ポーランド政府により何千人もの移民が押し戻された結果、絶望的な行動に出たものだ」とポーランド当局の非人道的な対応が混乱を引き起こしたと述べた。

フォンデアライエン欧州委員長は、「ベラルーシは人々の命を危険にさらしている」と非難し、加盟国に制裁拡大を承認するよう呼び掛けた。

NATOも「ベラルーシに国際法を尊重するよう求める」と同国による移民の政治利用は受け入れられないとの声明を発表した。

米国国務省のネッド・プライス報道官は、「ルカシェンコ政権は、弱い立場の人々を政治的に利用している。同政権が移民流入を冷酷かつ非人道的に促していることを強く非難する」と懸念を表明した。
 

米国をはじめ国際関係担当。