中国と欧州結ぶ中欧班列、「帰りは空コンテナ」相手国受益せず

2022/01/07
更新: 2022/01/07

中国と欧州や「一帯一路」沿線国を結ぶ国際貨物列車「中欧班列」の2021年11月までの輸送量が、前年比30%急増した。英国の専門家は、中国に戻るコンテナの大半は荷物を積んでいない空っぽの状態であることを問題視し、同貨物列車は、欧州ではなく中国に恩恵をもたらしていると指摘した。米国営放送ラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

中欧班列は中国政府が推し進めている広域経済圏構想「一帯一路」の一環である。中共ウイルス(新型コロナ)感染症の世界的な流行に起因する海上・航空輸送の滞留により、中欧班列の輸送量が急激に増えた。

香港英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」によると、中欧班列は2021年1月からの11カ月間、1万3817便が運行し、133万2000個のコンテナを運び、それぞれ前年同期比23%、30%増となった。

同紙は別の記事で、英国の学者ドラガン・パブリチェヴィッチ氏の見方として、ヨーロッパ行きは満載だった同貨物列車の復路はほとんど空コンテナであることから、中国からの輸出量は、中国への輸入量よりはるかに多いと報じた。

台湾輔仁大学の外交・国際問題学部の責任者、張孟仁氏はRFAのインタビューで、中国沿線都市の市民は同貨物列車の開通により、もっと安い「欧州製」の商品が買えると期待していたが、現実には、そうならなかったと話した。

張氏は「中欧班列は、中国が掲げる『中国の夢』を実現させるためのもので、欧州の夢を叶えるためのものではない」と指摘した。「中国は過剰な生産能力を他国に輸出することに成功した」という。

欧州連合(EU)は昨年末、「一帯一路」に対抗する、世界的な投資計画「グローバル・ゲートウェイ」構想を打ち出した。

中国は当初、一帯一路を通じて、中欧班列の沿線都市である中国の重慶、成都、武漢とカザフスタンの南東部にあるアルマトイ、ハンガリーの首都ブダペスト、ポーランドの首都ワルシャワ、チェコの首都プラハなどの内陸都市を、新たな輸出入のターミナルにするという計画だった。

チェコの外相はかつて、中国はチェコにとって第2位の輸入国であるが、第18位の輸出国に過ぎず、チェコに巨額の貿易赤字をもたらしていると発言した。

張孟仁氏によると、チェコ、リトアニア、スロバキアなどの中東欧諸国は、中国との協力関係から経済的な恩恵を受けていないことを認識したため、台湾との経済・貿易関係を強化したという。

(翻訳編集・叶子静)