「中国の長い腕」独2大学、中国の圧力で新書イベントを中止

2021/10/26
更新: 2021/10/26

ドイツの2大学で開催する予定の新書討論会が、中国から圧力を受け、キャンセルされた。ドイツ紙「ビルド(Bild)」が23日報じた。

報道によると、ジャーナリストのシュテファン・アウスト(Stefan Aust)氏とエイドリアン・ガイゲス(Adrian Geiges)氏の共同著書『習近平:世界で最も権力のある者(Xi Jinping – der mächtigste Mann der Welt)』は今年7月1日に出版された。

両氏はハノーファー大学とデュースブルク・エッセン大学にそれぞれ設置された孔子学院で、新書討論会の開催を希望していた。しかし、パイパー出版社(Piper Verlag)は中国側の圧力を受けて、討論会の取りやめを発表した。

ハノーファー大学の孔子学院を管理する上海市の同済大学と駐デュッセルドルフ中国総領事館の馮海陽総領事が「介入した」。

パイパー出版社によると、孔子学院の関係者は、「習近平氏を普通の人として議論してはいけない。習氏に関する話題に触れてはいけない」と中止の理由を述べた。2大学の孔子学院は、中国の「上層部からの圧力を受けた」という。

著者のアウスト氏は、イベントがキャンセルされたことは、「独裁政権(の中国当局)は今、国際社会にその価値観を無理やり植え付けようとしている」という同書の主張を裏づけたと述べた。

ビルド紙は、中国当局の「長い腕」はすでにドイツの大学にまで及び、ドイツ国内で検閲を行っていると批判した。「原因は孔子学院にある。孔子学院はドイツの大学と協力しているが、実際は中国当局に服従している」と同紙は評した。

ドイツの野党である自由民主党と緑の党所属の国会議員は公の場で複数回、孔子学院を批判してきた。

ドイツ連邦議会のフランク・ミュラー・ローゼント議員(自由民主党所属)はビルド紙に対して、「われわれは、大学で中国語を教えることを歓迎する。しかし、学問の自由を守らなければならない。その中に、他国の政治家について批判的な議論を行う自由も含まれる」とした。

孔子学院の運営に詳しい中国問題専門家のミッサル氏は、学術機関の独立性を保つために、ドイツの大学は孔子学院との提携をやめるべきだと主張した。
(翻訳編集・張哲)