豪統計局(ABS)が2日に発表した同国の1~3月期(第1四半期)経済指標によると、同国の経済は、昨年の中共ウイルス(新型コロナウイルス)感染拡大前の水準まで回復した。
ABSによると、1~3月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比1.1%増となった。前期比では1.8%増。
同国のGDP数値は、2019年まで29年連続でプラス成長だった。昨年は中共ウイルスの影響で、景気が後退し、初めてマイナスとなった。1~3月期の前年同期比1.1%増は、同国の力強い回復力を反映した。また、前期比の1.8%増は事前市場予想の1.5%増を大きく上回った。ABSは2日の発表で、昨年10~12月期(第4四半期)のGDP数値を3.2%増に上方修正した。
ABSの統計によれば、1~3月期の輸出は前期比0.5%増で、前年同期比6.2%減。輸入は前期比3.7%増、前年同期比1.0%増。
昨年、オーストラリア政府は、中共ウイルスの発生源をめぐって国際機関による独立調査の必要性を訴えた後、最大貿易相手国である中国との関係が悪化した。中国当局は、報復措置として、豪州産のワインやロブスター、石炭、牛肉、乳製品などを輸入制限の対象に指定した。このため、同国の輸出入が大幅に落ち込むと推測された。
オーストラリア政府は、中国以外の市場開拓に力を入れた。ABSによれば、4月のインド向けの石炭輸出量は1524万トンに達し、過去最高となった。8年ぶりの低水準を記録した3月と比べて、14%増加した。同国政府は現在、インドネシアやタイ、オランダなど各国に対して石炭の輸出拡大を試みている。
オーストラリアのシンクタンク、ローウィ国際政策研究所(Lowy Institute for International Policy)の研究調査によると、2019年、同国の中国向け輸出規模は約250億ドルで、GDPの1.3%を占めた。
同研究所のシニア・エコノミストであるローランド・ラジャ(Roland Rajah)氏は、米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に対して、2020年、石炭以外の中国向け輸出規模は約90億ドルとなったと明らかにした。同氏は、昨年末、中国当局がオーストラリア産製品の輸入規制を一段と厳しくしたため、同国の中国向け輸出がさらに減少したと指摘した。同氏の試算では、オーストラリア政府が他国への進出に取り組むことによって、今年の輸出規模が42億ドル増加する見通し。
ラジャ氏は、今年1月までの石炭輸出規模は年間計算で、中国当局が輸入禁止措置を実施前と比べ95億ドル増加したと示した。
マイケル・マコーマック豪副首相は5月、米CNBCに対して、オーストラリア政府は輸出先の多様化を模索していると述べた。副首相によると、同国はこのほど、メキシコに初めて大麦を輸出したという。
いっぽう、中国では、当局の輸入禁止措置によって、国内の石炭と鉄鉱石などの資源価格の値上がりが続いており、鉄鋼業など関連企業の負担が大きくなっている。VOAの報道では、5月30日、中国国家発展改革委員会は、価格の高騰を沈静化するため、国内商品先物取引所などの上層幹部に対して、鉄鉱石など「独占的な価格操作」を止めるよう指示した。
また、中国国内ではオーストラリア産ロブスターの需要も引き続き高いことがわかった。豪メディア「ABCニュース」3日付は、同国ロブスター関連団体、ウェスタン・ロック・ロブスター理事会(Western Rock Lobster Council)の統計を引用し、香港のオーストラリア産ロブスター輸入量が昨年11月の数十トンから3月の300トン以上に急増したと報じた。中国国内の飲食関連企業が香港を通じて、「グレートレード」を行っているとみられる。中国当局が報復措置を実施する前、オーストラリア産ロブスターの9割は中国国内に輸出されていた。
(翻訳編集・張哲)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。