豪紙、中国プロパガンダ紙「チャイナ・ウォッチ」の折込を中止

2020/12/11
更新: 2020/12/11

オーストラリアの民放大手ナインエンターテインメント(NE)が所有する新聞社が、中国の国営英字紙チャイナデイリー(ChinaDaily)傘下のプロパガンダ紙「チャイナ・ウォッチ(China Watch)」の折り込みを中止したと複数のメディアが伝えた。

英紙ガーディアンは12月9日、NE社はメディアのコメント要請に応じなかったが、半年前に契約更新を停止したことが確認されたと報じた。

豪メディア大手フェアファクス(Fairfax )は2016年、傘下の日刊紙シドニー・モーニング・ヘラルド(SMH)、ジ・エイジ(The Age)、オーストラリアン・ファイナンシャル・レヴュー(AFR)に毎月、チャイナ・ウォッチを掲載し始めた。フェアファクス社は2018年、NE社に吸収合併された。

フェアファクス社は2016年にチャイナデイリーと契約を結んだ後、この動きは純粋に収益のためであり、欧米の一部主要紙も同じ契約を結んでいると主張していた。

2020年2月、これらの有力紙に折り込まれたチャイナ・ウォッチは、中国当局による中共ウイルス(新型コロナウイルス)への対応を称賛する内容を掲載し、読者から反感が高まった。

NE社の政治部記者クリス・ウールマン(Chris Uhlmann)氏は、ガーディアン紙の取材に対し、「シドニー・モーニング・ヘラルド紙がチャイナデイリーと契約した2016年から、これは憂慮すべき事態だと訴えてきた」と述べた。「この契約で、共産党のプロパガンダがオーストラリアのメディアからお墨付きを得たことになる」と付け加えた。

同氏は9日、自身のツイッターでこのニュースをリツイートし、「遅れてもやらないよりましだ、というのは、マイルドな言い方だ」と書き込んだ。

このようなチャイナマネーに対し、世界中のメディアは警戒感を強めている。イギリス最大手新聞であるデイリー・テレグラフ紙は2020年4月、「チャイナ・ウォッチ」との契約を中止した。

チャイナ・ウォッチは、世界中の大手マスコミの販売網を借りて共産党思想を拡散するという目的で1992年に創刊された。広告費を支払う形で、米紙ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズ(NYT)、仏紙フィガロ、独紙ハンデルスブラットと南ドイツ新聞など各国の有力紙の折り込み「広告」として出版されている。日本では毎日新聞と契約している。

また、4~8面で構成されているこの「チャイナ・ウォッチ」は、「広告」と表示があるにも関わらず、紙面は新聞記事で構成されており、中国共産党による対外世論操作に重要な役割を担っている。

(翻訳編集・王君宜)

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