ケネス・ブレイスウェイト(Kenneth Braithwaite)米海軍長官は11月17日、インド洋と太平洋の境界に近い場所で新しい艦隊を設置するよう、海軍に要請したと述べた。インド太平洋地域における中国の拡張主義への対応だという。
米海軍研究所が運営するメディア・USNIニュースによると、ブレイスウェイト氏は同日、米海軍潜水艦連盟の年次シンポジウムで講演した。スピーチ冒頭で、「中国は世界各地でその攻撃性を示している」と述べ、インド太平洋司令部が管轄する地域の課題に対処するため、番号付きの新たな艦隊の必要性を力説した。
駐ノルウェー米大使を務めていた同氏は、「北極圏から戻ってきたばかりだが、北極圏における中国の存在感は、かつてないほどだ」「最近、私は極東を訪問した。同盟国とパートナー国の誰もが、中国の攻撃性を懸念していた」と語った。また、1812年の米英戦争以来、米国の主権が今日のように圧力にさらされたことはないという認識を多くの有識者と共有したとした。
インド太平洋地域は、神奈川県横須賀に拠点を置く米海軍第7艦隊が担当している。ブレイスウェイト氏は、同地域で拡張を続ける中国の抑止力を強化するために「日本の第7艦隊だけに頼らず、シンガポールやインドのような同盟国や友好国に目を向け、艦隊を複数配置しなければならない」と付け加えた。
同氏は、艦隊の位置はシンガポールの近くが好ましいと述べたが、場所よりも早期設立を重視するという。「機動力を重視し、太平洋を横断して、同盟国やパートナー国への最善の支援ができると判断するまで進める」とした。
ブレイスウェイト氏は、数週間内にインドを訪問し、インドの安全保障上の課題と、相互の支援について会談することを明らかにした。同氏は、米国だけで中国に立ち向かうことはできず、太平洋地域や世界中の国々が軍事的、経済的に(米国の)中国への対抗を支援する必要があることを明確にした。
(翻訳編集・佐渡道世)