ディズニー最新映画『ムーラン』ボイコットの声高まる 新疆政府への謝意表明で

2020/09/09
更新: 2024/04/22

新疆ウイグル自治区で撮影された、米アニメ映画大手ディズニーの最新映画『ムーラン』実写版は物議を醸し出している。映画のエンドロールには、新疆ウイグル自治区吐鲁番(トゥルパン)市警察局、その地域の宣伝部門「中国共産党新疆ウイグル自治区委員会広報部」など複数の政府機関に感謝を示している。

トゥルパン公安局は昨年10月、政府によるウイグル族への弾圧に関与しているとして、米国商務省の貿易ブラックリストに追加された。

2019年から同映画のボイコット運動が香港を中心に巻き起こっている。きっかけは、主演女優で中国生まれの劉亦菲(リウ・イーフェイ)さんが、香港市民に暴力をふるう香港警察への支持を表明したためだ。

ディズニープラスで公開された同映画は、病気の父親の代わりに従軍する古代中国の男装ヒロインを描いた歴史物語。ディズニーは1998年にアニメ映画化した。2020年は同名作品の実写版が公開予定されている。

大紀元は、ディズニーにコメントを求めたが、回答は得られなかった。

同映画の製作デザイナーであるグラント・マジョール(Grant Major)氏は最近、芸術誌「Architectural Digest(アーキテクチュラル)」に対し、撮影が始まる前に製作チームが新疆とその周辺で何カ月もかけて現地調査を行ったと語った。ムーラン・ディレクターのニキ・カロ(Niki Caro)氏は2017年、インスタグラムに砂漠の写真を掲載した。写真の位置には「アジア・新疆首都ウルムチ」とあり、説明には「中国調査5日目」と記されている。

先週末にソーシャルメディア上でこれらの事実が暴露された後、活動家たちはボイコットの呼びかけを強めた。

香港の著名な民主化活動家であるジョシュア・ウォン(黄之鋒)氏は9月6日のツイートで、「ムーランを鑑賞するならば、(香港)警察の残虐行為と人種の不正問題に目をつぶるだけでなく、イスラム教徒ウイグル人の集団監禁に加担しかねない、ということだ」と改めて映画のボイコットを呼びかけた。

英議会の保守党議員イアン・ダンカン・スミス氏は、ディズニーと新疆の警察当局との仕事は 「ひどい」 と非難した。また、中国当局に協力する欧米企業について「見て見ぬふりをするのは恥ずべきことだ」と書いた。

新疆との関連で反発を引き起こした米国企業はディズニーだけではない。7月、スポーツ専門局ESPNの調査によると、新疆ウイグル自治区にある米プロバスケットボール協会 (NBA) の青年訓練学校では、中国人指導者が選手を身体的に虐待していたことが明らかになった。NBAはその後、訓練学校との関係を終了したが、人権侵害の有無を明らかにしなかった。

2019年2月、マサチューセッツ州を拠点とする実験装置メーカーのThermo Fisher Scientificは、米国の議員から、同社のDNA検査キットが、中国当局による生体情報収集に使われているとの批判を受け、新疆へのキット販売を中止すると発表した。

また、国際的な衣料ブランドに対し、新疆の工場との関係を断ち切るよう求める圧力が高まっている。オーストラリア戦略研究所は3月、「販売されるウイグル」と題した報告で、中国本土各地の工場労働作業員としてウイグル人が各地に派遣され、強制労働に遭っていると伝えた。これらの工場では、83の世界的ブランドの製品を製造した。

米トランプ政権は新疆における人権侵害を理由に、同政権への制裁措置を強化している。新疆ウイグル自治区について、数人の中国政府高官や準軍事組織が制裁措置を受け、数十の中国の団体や企業が米国企業との取引を禁止にされた。

ロイター通信9月8日付によると、米政府は新疆の綿花とトマト製品について、強制労働で生産されている疑いがあるとして、輸入禁止措置を準備していると報じた。

(翻訳編集・佐渡道世)

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