香港市民は7日、中国本土への容疑者移送を可能にする「逃亡犯条例」改正案の撤回を求めて、中国本土と隣接する九龍半島で抗議デモを行った。主催側の発表によると、23万人の市民が参加した。市民らは、中国本土からの観光客に改正案に関する現状を訴え、抗議活動への支持を求めた。
今回のデモ行進はインターネット上で、ネットユーザーらによって呼び掛けられた。現地時間7日午後3時半頃、黒いTシャツを着用した市民らは、九龍半島繁華街の尖沙咀(チムサーチョイ)にあるソールズベリー芸術広場から出発し、九龍公園や広東道を経由し、中国本土と結ぶ高速鉄道の香港側の発着駅である西九龍高鉄駅まで、デモを進行した。
市民らは、プラカードや横断幕を掲げて、改正案の撤廃や、拘束された学生らの解放、行政長官に関する「普通選挙」などを求めた。
市民らは「学生は暴徒ではない、林鄭(行政長官)こそが暴徒だ」、「暴徒はいません。あるのは暴政だけです」と叫んだ。6月から始まった抗議活動で、香港政府や警察当局が市民らの訴えに応じない上、武力鎮圧し、抗議者の若者や立法会(議会)を占拠した若者を「暴徒」と決めつけた政府に対して、市民らは強い怒りを示した。
デモ行進の発起人の1人、劉穎匡氏は、市民らは当日「平和かつ理性的に」デモ行進したと話した。劉氏は、7日のデモ行進の主な目的について、「中国本土の観光客に逃亡犯条例改正案の反対を訴え、支持を得るためだ」と述べた。
「中国当局は国内に情報を封鎖しており、中国メディアも香港の学生は『暴徒』だとあおっている。国内の多くの人は、われわれの主張を知らないのだ。本土の同胞がここで見た実態やわれわれの平和的なデモ行進の様子を、国内の家族や友人に伝えるよう望む」
一部の市民は、簡体字中国語で書かれたプラカードを制作し、デモ行進中に掲げた。
市民の陳さんと王さんは、「政府が改正案を撤回しなければ、われわれは今後も抗議活動を続けていく」と語った。
市民の鄺さんは、「政府への訴えをやめれば、香港は今後中国共産党政権に支配されるしかない」と危機感をあらわにした。
香港警察当局は当日、西九龍高鉄駅の周辺に警官隊を投入し、通行止めのバリアーを設置し、警戒に当たった。香港鉄道有限公司は、7日昼から夜までの西九龍高鉄駅を出発する高速鉄道の乗車券販売を取りやめた。
デモ行進は夜7時頃、西九龍高鉄駅の近くで終了した。一部の市民らはデモ行進後、九龍半島中心部の弥敦道(ネイザンロード)で抗議活動を続けた。同日夜11時頃、警察当局は強制排除に乗り出した。市民らと警官隊が衝突し、負傷者が出た模様。
一方、香港市民は7月14日と21日に市内でデモ行進の実施を計画している。
(翻訳編集・張哲)