中国の政権維持に関わる台湾、米中軍事摩擦の衝突の火種に=米誌

2019/03/28
更新: 2019/03/28

太平洋地域の東南アジア諸国や台湾に対して、中国政府は威圧的な経済圧力と軍事的な威嚇を強めている。米国政府と米軍は、警戒態勢を続けなければ、中国政府は自国の利益を高めるために武力を行使する可能性があり、特に台湾は潜在的な大きな火種になりえる。

米誌「フォーリンポリシー(FP)」は3月25日、評論文章で、米中のアジア太平洋地域における軍事的摩擦の高まりについて書いた。

中国軍の米軍に対する挑戦的行為は日増しに激しさを増している。その兆候の1つとして、2018年末、南シナ海で中国軍艦が米海軍駆逐艦の船首から数十メートルという危険な距離に接近し、艦船の操作者として「プロらしくない」ふるまいを見せた。

また、米海軍は戦略的に重要な台湾海峡を通過する頻度を増やしている。最近では3月24日にも通過し、今年に入り3度目となる。これは、中国軍機が繰り返し台湾上空を旋回し、中国艦船が台湾周辺を巡回したことを受けて行われた。

FP誌は、複数の米国国防当局者からアジア太平洋地域の戦略について聞いた。彼らは、米国がこの地域で警戒態勢を続けなければ、中国政府は自国の利益のために武力を行使する可能性があり、特に台湾は潜在的に大きな火種になり得ると考えている。

1月、中国当局の指導者は南シナ海の島しょ国や台湾など領有権を係争する地域に対して、「完全な独立を主張するならば、武力行使も辞さない、米国への威嚇も躊躇しない」と述べた。

ブルームバーグは22日、トランプ米政権が台湾による新型F16戦闘機60機の売却要請を暗黙ながら了解したと報じた。この取引の提案者は、国家安全保障担当補佐官ジョン・ボルトン氏だと元国防関係者は述べた。

最近の中国南部のサンゴ礁を人工島に変え軍事拠点化していることも、米軍は注視している。記事はハワイの米空軍士官の話として、中国は8つの人工島に対空ミサイルを配備し、爆撃機や輸送機などを離着陸させることができる滑走路を建設したという。また、中国海洋警備艇が、ベトナム漁船を恫喝しているという。

米当局者によると、中国は10万~15万隻の船を随時に運航させることができ、他国の船を「封鎖、威嚇、脅迫」できると述べた。

米国の別の高官は、米国と中国との本格的な全面衝突は起こりえないだろうが、米中の地政学的利益が衝突する台湾は、軍事対決に繋がる可能性があると懸念する。

「台湾の独立を支持する動きは、中国共産党政権の内部秩序にとっても最大の脅威だ。共産党政権を維持することが党の最大目標だ」と同米当局者は述べた。

この当局者は、中国が台湾に対して武力行使を辞さないとの姿勢に対して、「注視しなければならない」と語った。

台湾の軍事力と国防力を高め、抑止力を維持できるようにするためにも、米国はもっと支援すべきだと同当局者は述べた。これには、移動式防空システム、対艦巡航ミサイル、小型高速攻撃艇、対機雷能力、精密砲、および領空をパトロールするための近代的な航空機が含まれる。

「われわれは誰も第三次世界大戦に巻き込まれることを望まない」と、この当局者は語った。

(翻訳編集・佐渡道世)