中国当局の新疆訪問要請 欧州外交官ら「宣伝に利用される」と警戒

2019/03/23
更新: 2024/04/22

中国新疆ウイグル自治区の強制収容施設に対する国際社会の非難が高まるなか、中国当局はこのほど、欧州各国の駐中国大使や外交官に新疆ウイグル自治区の視察を口頭で要請した。大使らは、新疆訪問が中国当局の宣伝目的に利用されることを懸念する。ロイター通信が20日伝えた。

報道によると、中国当局は各国の大使らに対して3月末に、新疆ウイグル自治区を訪問するよう要望を出した。実現すれば、大規模な西側外交団による初めての新疆ウイグル自治区の訪問となる。

現在欧州各国の外交官らがこの要請に応じるかどうかはまだ不明だ。また、新疆ウイグル自治区のどこの地域を訪問するのか、誰に会うのかも分からない。

ロイター通信の取材に対して、中国外交部(外務省)は声明を出した。声明は、新疆地域における経済と社会の発展について欧州各国の認識を高め、欧州と中国の交流を深めるため、中国当局が欧州外交官らの新疆訪問を要請したとした。

昨年、フランス、イギリス、ドイツと欧州連合(EU)など10数カ国の駐中国大使と外交官は、新疆ウイグル自治区トップ、陳全国・党委員会書記宛ての書簡で「再教育収容所」に対して懸念を示し、陳全国氏との会談を求めた。中国当局は同書簡について、いまだに返答していないという。

いっぽう、一部の外交官らは、中国当局の要請を受け入れれば、新疆訪問が中国当局の対国内外の宣伝材料として利用されることを危惧する。最近、一部の外交官が新疆を訪問したが、中国政府系メディアは外交官らが「再教育収容所」を支持するかのように写真を撮影し、報道を行った。「強制収容を支持していると書かれたなら、訪問の意味がないだろう」と1人の外交官はロイター通信に述べた。

ロイター通信によれば、王毅・国務委員兼外相が18日、ブリュッセルを訪問し、EU加盟国の外相らと会談した際、外相らは王外相に対して、新疆再教育施設への憂慮を示した。 

米国務省は14日、世界人権状況に関する報告書を発表した。報告書は中国当局によるウイグル人への大規模な強制収容は、「1930年代以降」の最も深刻な人権侵害だと非難した。トランプ米政権は、陳全国・新疆ウイグル自治区党委員会書記を含む関係者らに制裁を科すことを検討している。

(翻訳編集・張哲)