マイクロソフト社は24日、同社検索エンジン・ビング(Bing)は中国国内で閲覧できないとのコメントを発表した。フィナンシャル・タイムズは匿名筋の話として、通信大手のチャイナユニコム(中国聯合通信)が政府からビングに対する遮断の通知を受けたと報じた。
中国国内のユーザーはSNSで24日、中国共産党政権による情報検閲を回避する仮想ネットワーク(バーチャル プライベート ネットワーク、 VPN)を使っても、cn.bing.comにアクセスできないと訴えた。
マイクロソフトは同日の声明で「私たちは現在、ビングが中国でアクセスできないことを確認している。次のステップに取り組んでいる」と述べた。
中国共産党政権は体制維持のために厳しい情報統制を行っている。グーグル、ユーチューブ、ウィキペディア、フェイスブック、ツイッターのほか、英字の大手ニュースメディアの多くは閲覧できない。
2017年6月、中国ではインターネット安全法が施行され、当局が公表を禁止する内容の送信停止や削除、通信を遮断することが明記された。ネット情報弁公室は2018年2月、SNSにおける実名制の徹底を強調した。
マイクロソフトのビングは、こうした状況の中でも8年間、中国国内で使用できる数少ない米国企業製の検索エンジンだった。ビングは中国での運営を存続するため、当局の検閲を受け入れていたと考えられる。にもかかわらず、ビングは市場からの締め出しに遭った。中国でのネット検索エンジンは百度(Baidu)が70%を占め、ビングは2%だった。
新興メディア、インターセプト2018年12月18日付によると、検索世界大手グーグルは中国向けエンジン「トンボ(Dragonfly)」の開発を実質停止したという。グーグルは中国市場再進出の報を受けて、当局の情報統制への加担を懸念する技術幹部の辞任や、社員署名付き書簡の公開など、激しい反発が巻き起こっていた。
2018年12月11日、サンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は米国議会の公聴会で、中国における計画は調査段階だと主張した。グーグルは、開発用の中国国内ユーザーの入力情報収集用ダミー検索エンジン、谷歌265.comが閉鎖されており、検索エンジン開発の痛手を被っている。
今回ビングがなぜ締め出されたのか、理由はわかっていない。しかしこれは、グーグルに対して、検閲を受け入れたとしても中国での運営が非常に困難であることを示唆した。
海外から来た中国国内インターネットユーザーの多くは、強固な情報統制により適切な回答を得られない百度の検索機能を酷評している。ビング遮断を受けて、ある中国人ユーザーは、あらためて中国は自由な情報空間を渇望していると訴えた。
(編集・佐渡道世)
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