中国著名経済学者が共産党脱退を明言「同様の知識人が多くいる」

2018/12/15
更新: 2018/12/15

中国の著名経済学者、茅于軾氏(89)はこのほど、米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に対して、「共産主義思潮はもう過ぎ去った。共産党内にとどまりたくない」と述べた。茅氏によると、同様の考えを持つ知識人が多くいる。

今年は中国改革開放40周年に当たる。毛沢東が死去した2年後の1978年、経済の立て直しを図るため、中国政府は経済体制の改革と対外開放政策を決定した。今までの計画経済から市場経済へと移行した。この歴史的な変革を直接に見てきた茅氏は「毛沢東の統治は失敗そのものだ。毛時代の中国は世界でも最貧国の一つとなった」と述べた。

茅于軾氏は、「中国で現在、汚職問題が深刻で、政治環境が良くない。これは市場化の妨げとなっている」と指摘した。政治環境を改善するには、国民による政府への監督、言論の自由、司法の独立性が欠かせないという。

いっぽう、鄧小平が1989年、民主化を求める学生や市民への武力鎮圧に踏み切り、改革派の趙紫陽氏が失脚し、当時の「改革」が中断された。これ以降、「改革」が停滞状態となったと茅氏が発言した。現在、中国の市場化を阻む最大の要因は、「権力の介入だ」という。

茅氏によると、現在多くの知識人が中国共産党から脱退したいと考えている。このため、中国当局が現在、各民間企業で党組織を設立しようとしているが、「全くの無意味だ」。一部の党員は党を脱退するために、党費の不払いを続けている。党の規定では6ヶ月以上党費不払いすると、党員資格が停止される。

茅氏は「当局が認めたくなくても」、現在の内外の情勢は「民主、法治、憲政、人権」に向かって急速に変化しているとした。

中国当局は近年、茅于軾氏と他の中国人経済学者が1993年に創立した独立シンクタンク、天則経済研究所に対して締め付けを強めている。今年7月10日、当局は同研究所の北京事務所を閉鎖した。

茅氏が2011年に発表した評論記事、「把毛澤東還原成人(毛沢東を一般人に戻そう)」で、毛沢東の神格化を非難した。同記事によると、毛沢東時代の「大躍進」は3000万人以上の中国人を餓死させた。中国共産党が政権を奪取して以降、一連の政治運動で5000万人以上が命を奪われたという。毛沢東思想を信奉する極左ら(毛左)は茅氏に対して、「10人の売国奴」の一人だと集中砲火を浴びせた。

VOAのインタビューで、茅于軾氏は中国憲法に定めている「人民民主専政(人民民主独裁)の実行」について、「とんだ笑い話だ」とこき下ろした。「民主主義国家で、独裁政治を施すことができなければ、独裁体制の国で民主主義を実践することも不可能だ。この理論的に破綻している国家制度が憲法に取り入れられ、 全世界が抱腹絶倒しているだろう」 

(翻訳編集・張哲)