文在寅政府の支援中止で米韓研究所が閉鎖 38ノースは独自運営へ

2018/04/12
更新: 2018/04/12

韓国政府は4月4日、ジョンズ・ホプキンス大学国際大学院所属の米韓研究所(USKI)の予算を停止すると発表した。これを受けて、USKIは5月11日に閉鎖される。表向きの理由は「研究業績不振」だが、大統領府内には、融和政策を取る文在寅政権が、USKI運営の北朝鮮分析サイト「38ノース」を支持しないことが理由との見方がある。同サイトは度々、秘密裏にされた北朝鮮内部の様子を衛星写真の解析で報じていた。

いっぽう、38ノースの共同設立者で元米国務省官僚ジョエル・ウィット氏(USKI上級研究員)は10日の声明で、研究所が閉鎖されても、38ノースは独自に運営を続ける方針を明らかにした。聯合ニュースによると、米カーネギー財団などの寄付金で財源を確保し、独立研究所などの形で存続するという。

38ノース、北朝鮮の核・ミサイル実験を数回予測 米韓関係の新たなネットワークの役割も  

大統領府はUSKI支援停止について、USKIウェブサイトに掲載されている研究報告書と特別レポートは計50件にとどまり、研究所の規模に比べて量が少ないことがその理由とした。

USKI傘下「38ノース」は、専用衛星画像の分析に基づいて、2015年12月の北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の実験報告や、2016年9月プンギェリ第5次核実験を予測するなど、多数の成果を上げてきた。

また北朝鮮の権力構造、経済、人権など様々な分野の韓国専門家164人が毎日2~3件の文書を発表していた。 信頼性のある報道として、米ニューヨーク・タイムスやロイター通信、FOXニュース、英BBC、ガーディアン、仏AFP、ほか日本の主要メディアも引用してきた。

米韓共同の研究機関の閉鎖について、韓国メディアからも批判する声が上がっている。朝鮮日報と中央日報は、2006年に盧武鉉政権の時に設立されたUSKIが、米韓関係の新しいネットワークを形成し、北朝鮮専門家たちの講演を主催、ニュースレター発刊などの功績があることを指摘。これまでの外交投資と資産を消してはいけないと強調した。

USKI所長「大統領府から人事介入と圧迫あった」首脳会談控えて異常な決定

突然の支援中止と閉鎖について、38ノース関係者は、大統領府からUSKIにク・ジェフェ所長とジェニー・タウン副所長の辞任を要求し、大学側がこれに応じなかったためだと語る。

ク所長は6日、中央日報のインタビューで、大統領府からの圧力の証拠となる多数のメールを保有していると明かした。

USKIガルーチ理事長は11日、AP通信の電話取材で、「学術事案の(韓国政府からの)不適切な介入を拒否した結果、研究所が閉鎖されることになった」と述べた。

南北首脳会談は4月27日、軍事境界線に立つ「平和の家」で予定されている。理事長は、米韓関係協調を目的に設立されたUSKIの突然の閉鎖について、対北融和政策を取る文在寅政権による、北朝鮮を「気遣った」動きとみている。

(翻訳編集・齊潤)