米が北朝鮮に近く追加制裁、「かつてなく厳しい」とペンス副大統領

2018/02/08
更新: 2018/02/08

[東京 7日 ロイター] – 来日中のペンス米副大統領は7日午後、安倍晋三首相との会談後にそろって会見し、北朝鮮に対する「かつてなく厳しい」独自の追加制裁を近く発表する方針を明らかにした。両者は北朝鮮が平昌冬季五輪を機に融和姿勢を見せていることをけん制し、朝鮮半島の非核化を目指して最大限の圧力をかけ続けることで一致した。

<「五輪を政治宣伝に利用させず」>

ペンス氏は9日から韓国で始まる平昌冬季五輪の開会式に出席する前に、日本に立ち寄った。北朝鮮が五輪参加を機に揺さぶりを掛ける中、ペンス副大統領と安倍首相は会談で、圧力のさらなる強化と、韓国を合わせた3カ国で緊密に連携する方針を確認した。公海上で北朝鮮船との間で積荷をやり取りする「瀬取り」を含め、北の制裁回避を阻止する方策についても協議した。

ペンス副大統領は「北朝鮮が五輪をプロパガンダ(政治宣伝)に利用することはさせない」と発言。「(五輪では)選手を応援するとともに、同盟国と肩を並べ、北朝鮮が世界の最も独裁的な、残酷な国であることを伝えたい」と語った。

さらにペンス氏は、北朝鮮がこれまでも五輪参加後に再び挑発行為に及んだり、核開発計画を廃棄する約束をたびたびほごにしてきた過去に言及。「過去の過ちは繰り返さない。北朝鮮に優しくすると、さらなる挑発につながるだけ。すべての選択肢をテーブルに置く」と強調した上で、「かつてない、厳しい制裁を発表する」ことを明らかにした。

会談に同席した西村康稔官房副長官によると、ペンス副大統領は、米政府が独自の追加制裁を近く発表すると説明したという。

一方、安倍首相は会見で、韓国と北朝鮮による南北対話の進展に言及。評価はするとしつつ、「北朝鮮が核・ミサイル開発を執拗に追求している事実は直視すべきだ」と述べた。その上で、「関係国に対し、北朝鮮のほほ笑み外交に目を奪われてはならないことで(ペンス副大統領と)一致した」と語った。

安倍首相も五輪の開会式に出席する予定。その際に韓国の文在寅大統領と会談し、北朝鮮問題を巡る日米韓の強固な協力関係を確認したい考えだ。

ペンス氏は安倍首相との会談に先立ち、東京・市ヶ谷の防衛省に配備中の迎撃ミサイル「PAC3」を視察した。日本への出発前にはミサイル防衛システムを配備するアラスカ州の米軍基地にも立ち寄っており、北の弾道ミサイルに対し、日米が万全の態勢を敷いていることをアピールした。

7日夜には麻生太郎副総理兼財務相にも会う。ペンス氏は安倍首相との共同会見で「昨年10月に麻生氏と経済対話を実施することができた。均衡の取れた、強い成長を実現するようにしたい。また、自由な貿易を実現したい」と語った。

<焦点は韓国での米朝会談>

ペンス副大統領は8日に韓国へ向かう。一方、冬季五輪に参加する北朝鮮は、韓国に金永南・最高人民会議常任委員長を団長とする代表団を派遣する。1953年の朝鮮戦争休戦以降、最高位の北朝鮮高官の韓国訪問となる。現地でペンス副大統領と金常任委員長の、米朝ナンバー2同士の会談や接触が実現するかどうかが焦点だ。

ペンス氏は日本へ出発する前、記者団に「誰が来ようと、私のメッセージは同じだ。北朝鮮は核開発計画と弾道ミサイルの野望を捨てなければならない」と話した。

ホワイトハウス当局者は「ペンス副大統領が、北朝鮮側との面会を求めることは確実にない」としている。

*内容を追加しました。

 

(久保信博)

Reuters