韓国南西部・珍島(チンド)沖に沈没した大型旅客船「セウォル号」が25日夜、1075日ぶりに完全に姿を見せた。韓国海洋水産省は今月22日から引き揚げ作業を開始し、セウォル号を運搬するための半潜水船に積み込む作業を25日未明に完了させた。
セウォル号は2014年4月に珍島沖に沈没。事故により修学旅行中の高校生ら乗客・乗員295人が死亡、いまだに9人が行方不明となっている。最大の事故原因は、過積載と、積載量をごまかすために船体バランスを保つ「バラスト水」を少なくされていたためだと、韓国メディアは指摘している。また、避難誘導などの緊急対応を、船長はじめ船員が適切に行わなかったため、多数の犠牲者が出たと考えられている。
半潜水船に積まれたセウォル号は、沈没地点から87キロ離れた木浦新港まで移動する。今後は、船体に溜まった海水と残存する油を取り除く作業が行われる。
ファン・デシク海洋構造協会事務総長は「急激に水を抜き出すと、内部の遺留品などが失われる可能性が大きい。損傷を最小限に抑える必要がある」と説明した。
海洋水産省は、海水と油の除去作業が完了した後、行方不明者の捜索と船体調査などを行う予定。
(翻訳・斎潤)
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