中国政府系シンクタンク、「6月の株暴落は国難に便乗」と関係者を批判

2016/10/24
更新: 2016/10/24

中国政府系シンクタンクは最近の報告書で、昨年6月以降起きた株価大暴落について「内部情報を把握していた一部の政府機関責任者とマーケットメーカー(値決め業者)は、国難に便乗して儲けようとし、国家の資産信用に大きな損害をもたらした」と強く非難していたことが明らかになった。当局の公式研究報告として、暴落に関与した官員を直接に批判したのは初めて。

発表時期は6中全会の直前 江沢民派けん制か

中国社会科学院経済研究所などの3つの政府系シンクタンクは21日、合同で『中国上場企業青書:中国上場企業発展報告(2016)』を発表。発表時期について、今週に開催される中国共産党第18期中央委員会第6回全体会議(6中全会)の直前であるため、習近平政権は6中全会に、その対抗派閥であり、株価大暴落を主導したとされる江沢民派閥をけん制する目的だとみられる。

昨年6月中旬、8月と今年1月に発生した3回の大暴落について、同報告書は「中国株式市場が設立された1990年以降の正真正銘の市場危機であった」と危機感を改めて示した。

中国米国の自由アジア放送(RFA)(23日付)の取材に対して、国内フリージャーナリストの朱欣欣氏は「政府系シンクタンクである社会科学院が大胆にも一部の官員を批判したことから、党内派閥間の権力闘争の激しさを浮き彫りにした」とし、また「当局は官員らが経済領域で私利私欲を図ろうとすることを絶えたいと考えるならば、政治と経済の運営体制を改革し、政治権力の勢力が市場経済への入り込みを断たなければならない」と指摘した。

当時多くの海外メディアが、江沢民派閥がA株式市場の空売りを主導し、金融危機を利用して政治的にな危機を誘発することで、習近平の辞職に迫るのが目的だったと報じた。

しかし、江派閥は習近平側からの強い反撃を受けた。習氏らは国家公安部などに暴落の調査を指示し、その後、証券市場を監督する政府機関の中国証券監督管理委員会(CSRS)の姚剛・副委員長や張育軍・委員長補佐などの多くの高官が相次いで取り調べを受けた。

一方、国有証券会社の中信証券股份有限公司において、習当局は昨年9月インサイダー取引や内部情報の漏えいなどの容疑で、江沢民の側近で中央政治局常務委員の劉雲山氏(党内序列5位)の息子で劉楽飛・副会長を含む8人の幹部を取り調べした。中信証券は当局の株式市場救済措置で、株価の暴落を食い止めるのに市場で株の大量購入に参加した国有証券企業、いわゆる「国家隊」のうちの一つだった。

(翻訳編集・張哲)