中国共産党の習近平総書記が1日、同国を訪問している北朝鮮の李洙墉(リ・スヨン)朝鮮労働党副委員長と会談したことに関して、「金正恩朝鮮労働党委員長の訪中アプローチ」など、さまざまな情報や分析が上がっている。
中国の公式発表によると、習氏と北朝鮮の指導部高官の会談は、2013年5月に金正恩(キム・ジョンウン)氏の特使として訪中した崔龍海(チェ・リョンヘ)朝鮮人民軍総政治局長以来、3年ぶり。
習近平体制下で、中韓首脳会談は何度も行われたが、中朝首脳会談はいまだに実現していない。度重なる金氏の訪中アプローチに中国側は対応していないと伝えられるなか、大紀元コラムニストは今回の李洙墉氏の訪中は、金正恩氏の訪中を結びつけるための外交行動とみている。
韓国の中央日報は中朝関係に詳しい北京の匿名外交消息筋の話として、わずか20分だった今回の会談では成果を得るのは難しいこと、北朝鮮の100万トン食糧支援の要請に対し中国側は50万トンまでと約束したなどと報じた。
新華社が報じた「両国の伝統的友好関係を強化・発展させることを望む」という金正恩氏から習氏への口頭メッセージを、朝鮮中央通信社(朝中社)が触れていないことも、金氏の煮えくり返った心中を露呈しているようだ。
また、北朝鮮の核開発やミサイル発射に関する会談の内容について、中朝の官製メディアの報道が違っていることから、同問題をめぐる双方の見解が一致していないことが読みとれる。
朝中社は、李氏が習氏に対し、経済発展と核開発を並行ですすめる路線を堅持することを強調したと報じたが、中国の国営新華社通信の報道はこのことに言及していない。また朝中社は、北朝鮮の核実験やミサイル発射をけん制する習氏の言葉、「関係各国が冷静さと自制を保ち、コミュニケーションや対話を強化することを望む」などを伝えていないという。
中国当局は韓国政府に対して、直前に李洙墉氏の訪中を通達したとの報道も出ている。
(翻訳編集・叶子)