中国政府は3月の全国人民代表大会(全人代)で、過剰生産能力の削減、ゾンビ企業の解体を今年の重要な経済政策とすることを発表した。しかし、中国国内の報道によると、金融機関の融資を引き続き受けるようにするため、一部のゾンビ企業で不正会計による利益の水増しが横行しているという。
3月29日付、経済紙「経済参考報」によると、昨年以降、中国石炭業や鉄鋼業などの過剰生産問題がさらに深刻となり莫大な赤字となっているにもかかわらず、これらの企業は金融機関から融資を受けられなくなることを懸念し、決算報告書で赤字を収益に粉飾している。
中国全国工商聯合会冶金企業商会の趙喜子・前名誉会長によると、70社の国有鋼鉄企業のうち、黒字企業は10社しかなく、その他はほぼ赤字となっているという。しかし、多くの鋼鉄企業の決算報告書は「利益」を計上している。「ある1社の鋼鉄企業の決算報告書には20億元(約340億円)の事業利益が記されているが、我々の調査ではこれらの収益はほぼ資産を売却して得た収入だと分かった」と、趙氏は指摘する。
ある匿名希望の石炭企業大手の責任者は、「経済参考報」に対して、企業の昨年の決算報告書では5千万元(約8億5千万円)の事業利益と記されたが、実際のところは10億元(約170億円)以上の赤字だったこと、金融機関に融資の早期回収を防ぐために以前の余剰資金を当期事業利益として粉飾したことを告白した。
同紙は、不正会計の横行を踏まえると、中国のゾンビ企業の数は実際に報道された数の数倍にも上ると指摘した。
中国政府は昨年末から経済的構造転換のスローガンを掲げ、経済の供給側への改革の一環として、過剰生産能力削減とゾンビ企業の解体を目指している。その結果、現在中国当局は2つの難題に直面している。1つは、過剰生産能力削減とゾンビ企業の処置で数百万人の労働者が失業になる恐れが出ていること。もう1つは、多くの地方の産業構造は単一なため、地方経済転換と労働者の再就職が難しいということだ。
(翻訳編集・張哲)
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