【大紀元日本3月11日】開会中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に出席した複数の軍幹部から、失脚した軍の大物幹部への批判が相次いだ。「人民軍を私物化し、当時の軍事委員会主席が有名無実だった」などと踏み込んだ発言が注目を集めた。
9日付の香港フェニックステレビの電子版・鳳凰網によると、軍事科学院の楊春長少将は取材で、昨年6月に収賄などの容疑で訴追された徐才厚元中央軍事委員会副主席の幹部登用基準について「お金が1番、利益関係が2番、間柄が3番」とかつての上司を手厳しく批判した。「軍区司令官の官位も賄賂で競われた。2000万元(約3億8800万円)を出す人があったため、1000万元(約1億9400万円)を出す人は昇進できなかった」「彼らの権力があまりにも大きかった。当時の軍トップ(胡錦濤氏)は有名無実化された」と内幕を赤裸々に暴露した。ここの「彼ら」とは、徐才厚氏と同じ軍事委員会副主席を務めた郭伯雄氏を意味する。胡氏が在任中、2人に牽制され、軍の実権を握っていなかったのは公然の秘密だったが、軍幹部が公の場で言及したのは異例だ。
同学院の姜春良少将も「軍事に無知でも、重要幹部になれる」とコネや賄賂で高いポストを手に入れた幹部は少なくないと指摘した。軍事評論家の羅援退役少将は軍の腐敗を「思うだけで恐ろしく感じる」と語り、「汚職官僚のために命懸けで戦う人はいない。戦わずして負けてしまう」と汚職が軍の戦闘力を台無しにしたと嘆いた。
両会直前、軍当局は浙江省軍区の副責任者・郭正鋼氏(45、少将)が調査を受けていると発表した。同氏は郭伯雄元中央軍事委員会副主席の息子だ。解放軍装備学院の劉建副院長は政府メディアの取材で「親にも責任がある」と郭伯雄氏を批判した。
多発する軍の腐敗について、前出の楊春長少将は「軍では機密性を重視するあまり、トップの一存で事が決まってしまう」と軍の指導体制に問題があると分析した。「この機密性はまた汚職幹部の不法行為の発覚を遅らせている」と軍で腐敗が横行した原因を指摘した。
中国軍では、軍制服組トップの徐才厚氏が昨年6月、収賄などの容疑で失脚した。それより前に谷俊山・元総後勤部副部長が汚職で起訴された。もう1人制服組重要幹部の郭伯雄氏も失脚が取りざたされている。
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