【大紀元日本9月19日】カンボジアの陸軍病院で臓器を違法に売買した罪で、同国警察は今年8月、病院長と副院長ら9人を逮捕した。なかには臓器移植の技術を指導していた中国人教授兼医師も含まれる。専門家は、中国が組織的に臓器収奪の犯行モデルを同国に持ち込んだ可能性を指摘している。
中国は、国が主導して軍病院で組織的に臓器を収奪する「臓器狩り」が行われていることで知られる。医師は臓器摘出の技術を、主に死刑囚を実験対象にして習得していると、同問題を研究するジャーナリストらが伝えている。
人権組織「臓器の強制摘出に反対する医師会(Doctors Against Forced Organ Harvesting、DAFOH)」代表のトルステン・トレイ医師は、今回のカンボジアの事件に対し「中国モデルとは異なるが、中国が組織的な臓器収奪を促した可能性はある」と指摘する。
地元紙デオム・アンプリは、昨年、中国からの寄付により建設されたプレアケットメリア(Preah Ket Mealea)陸軍病院で、3人~5人のカンボジア人が腎臓摘出手術を受けたと伝えている。関係した医師によると、腎臓は中国人患者へ3万5千ドル~4万ドル(約350万円~400万円)で売られ、臓器提供したカンボジア人へはわずか5千ドル(約50万円)の謝礼しか支払われなかったという。
警察の発表によると、逮捕された9人は同国軍部にも籍を置く病院長、副院長を含むカンボジア人6人と、中国人、ベトナム人の3人。カンボジアデイリー紙によると、逮捕された中国人は病院に招聘された教授兼医師だという。
今回の事件では、個人経営の病院ではなく陸軍病院に、臓器移植技術を知る中国人教授が招かれている。これについてトレイ医師は「少なくともカンボジア政府または関連組織の承認を得ている」と指摘し、中国の臓器移植システムと類似すると分析する。中国でも「臓器の流通ルート」は軍の病院に集中する。
カンボジアでは臓器を売ることで、提供者は少なくとも金銭を得ていた。しかし中国では、本人の意思にかかわらず「ドナー」となった受刑者は、臓器を収奪され、殺害される。本人もしくは親族に謝礼が支払われることはない。
「中国は他国の倫理観までも崩壊することが最も問題だ」とトレイ医師は指摘する。中国では信条のため強制労働収容所や刑務所に投獄された法輪功学習者が、この臓器狩りの犠牲者の大半とされている。同問題を調べるジャーナリスト、イーサン・ガットマン氏によると、2000年から2008年までに約6万人の法輪功学習者が「臓器狩り」のために死亡したと、最新著書「殺戮(原題:The Slaughter)」で伝えている。
(翻訳編集・佐渡 道世)
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