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「臓器収奪は殺人」中国移植渡航の野蛮な実態追求 =北村晴男議員【参院法務委】

2025/12/16
更新: 2025/12/16

令和7年12月16日、参議院法務委員会において、日本保守党の北村晴男議員は、中国における臓器収奪と、それを利用した移植ツーリズム(渡航移植)の野蛮な実態を追求した。

中国の臓器収奪の実態

北村議員は「臓器移植を希望する者にとって、日本や欧米諸国ではドナーが見つかるまでに2年から7年を要するのに対し、中国では1週間から3週間という極めて短期間で移植が実施されており、様々な研究者が指摘しているとおり、この驚異的なスピードは、ウイグル人、チベット人、法輪功学習者など100万人単位の人々が強制的に収容され、DNA情報がデータバンクとして管理された上で、必要に応じて強制的に臓器を収奪する体制があって初めて可能となるものである」と指摘した。

北村氏は、中国人医師である鄭治医師が供述した生々しい証言を提示した。同医師は1994年に、上司の命令により、改造車両の中で手足を縛られた若い兵士から腎臓を摘出するのを目撃し、自身は眼球の摘出を命じられたが恐怖で何もできず、別の医師がこれを行ったという。兵士の目はまだ動いており、私をじっと見ていたとその時の恐怖を語っている。また、臓器収奪の目的の一つは、政府高官の治療や延命のためとされており、本年9月に北京で行われた軍事パレードの際に、中国共産党(中共)党首・習近平とロシアのプーチン大統領らが「人間の臓器は繰り返し移植できる」「今世紀中には150歳まで生きられるようになる」といった会話を交わしていたことが、この説と符合する。

北村氏は、「この臓器収奪は大規模な移植ビジネスにつながっており、国外からの移植ツアーが頻繁に行われている。臓器収奪は殺人を伴い、臓器は闇市場で高値で取引されているため、仮に日本国内で行われれば強盗殺人罪(法定刑は死刑または無期拘禁刑)に問われる重大な行為である。したがって、臓器移植を必要とする日本人が移植ツアーに参加し中国に渡航することは、殺人を助長することになり、倫理的に許されない」と述べた。

日本政府の現状の対応と批判

国際的には、国際移植学会が2008年と2018年にイスタンブール宣言を発し、各国政府に対し、自国住民の移植ツーリズムへの関与を予防・阻止する方策を促している。

日本政府の対応について、厚生労働省の榊原審議官は、イスタンブール宣言の趣旨に基づき、国内の移植医療の円滑化と体制強化に努めていると答弁した。具体的には、医療機関への移植医療の適正な実施の周知や、厚労省のホームページに臓器取引・移植ツーリズムの危険性を周知する動画を掲載するなどの取り組みを実施しているという。

しかし、北村議員は、このような広報活動では国民が問題性を認識するには到底至らないとし、文明国の厚労省として真剣に取り組むよう要望した。また、移植後に中国での実態を知り、手術を受けなければよかったと後悔して精神を病んでしまう患者が数多くいることにも言及した。

刑罰と上陸拒否に関する議論

北村議員は、中共政権の野蛮な行為を抑制し、収容されている人々の命を救うため、具体的な措置として、空港の出発ロビーや保安検査場に「海外で臓器移植手術を受ければ殺人等を助長する可能性があります」といった掲示をすることが必要であると提案した。入管庁は、関係省庁から要望があれば、出国審査場における広報対応を検討する意向を示した。

さらに北村議員は、臓器移植法あるいは刑法の改正により、以下の罰則規定を設けるべきだと主張した。

  1. 臓器移植ツアーを主催し、またはこれをサポートした者を厳罰に処すること。
  2. ドナーから任意の提供がなされたことが明らかな場合を除き、海外で臓器移植を受けた者を処罰する規定を設けること。

これに対し法務省は、臓器移植法に臓器売買等への罰則は設けられているが、臓器移植に関連する新たな罰則規定を刑法に設けることについては慎重な検討を要するとの見解を示した。厚労省も、渡航移植を全面的に禁止する国際的なルールはなく、臓器移植法にも渡航移植を直接禁止する規定はないと説明した。ただし、臓器移植法が議員立法であることから、立法府において議論がなされるのであれば必要な協力を行う考えであると答弁した。

また、北村議員は、入管法第5条の上陸拒否事由に、移植ツアーの主催・サポートや、疑わしい海外での臓器移植を受けたことを追加し、そのような外国人の再入国を拒否すべきであると提案した。入管庁は、上陸拒否処分は性質が厳しいため、臓器移植手術を受けた経緯には様々なものがあることを考慮すると、一律に上陸拒否の対象とすることには慎重な判断が必要であるとの考えを示した。

求められる国民の関心の高まり

今回の質疑では、厚労省が国会での議論への協力姿勢を示したため、今後は、移植ツーリズムをめぐる罰則の新設や上陸拒否事由の追加に関してなど、国会における議論が活発化する可能性がある。また、国民への周知・啓発活動を強化するため、入管庁が関係省庁の要望に応じて出国審査場での広報対応を検討するなど、水際での注意喚起措置が優先的に進められる可能性も見えてきた。

一方、日本政府は、国内の移植医療の自給自足に努めるべきというイスタンブール宣言の原則は認識しているものの、刑法や入管法を改正し、渡航移植の参加者や主催者を直接処罰したり、一律で上陸拒否の対象としたりすることに対しては、依然として慎重な姿勢を崩していない。

しかし、北村議員は、任意の提供がなされたことが明らかな場合を除き、つまりそれが極めて疑わしい場合の抑制措置が文明国として必要であると強く主張しており、この問題に対する国民の関心を高めることが求められている。

▶大紀元EPOCH TIMES JAPAN編集長 ▶「日本の思想リーダーズ」「THE PARADOX 真実のへ扉」番組ナビゲーター 、「大紀元ライブ」番組ホスト。