中国、死刑囚の臓器利用を廃止へ 国内外の圧力で態度変化

2013/08/21
更新: 2013/08/21

【大紀元日本8月21日】国際的な批判が集まっていた死刑囚の臓器を移植用に摘出することについて、中国当局は11月から段階的に廃止していくとの方針を明らかにした。共産党幹部を含む国内でも非難があることや米国下院議会で臓器の強制摘出の停止を求める決議案が提出されるなど、この問題に対する圧力が高まったために態度を変化させたものと見られる。

中国衛生省の元次官で臓器移植関連の責任者を務める黄潔夫氏は15日、ロイター通信の取材に対して、処刑された死刑囚の臓器使用を段階的に廃止する方針を明かした。11月に開催予定の臓器移植委員会で、ドナー提供の臓器を使用するプログラムを強化するという。

中国死刑囚の臓器利用の国際的な非難の焦点は、手術件数とドナー数の不一致や、手術まで他国に例のない早さでドナーと移植希望者が合致するため「生きたまま受刑者から強制臓器摘出が行われている」との嫌疑にある。この内容は冒頭の米国下院議会に提出された281決議案でも認められた。

中国では伝統的な価値観から自ら臓器提供を希望する人は極めて少ない。当局の発表によれば、移植希望者30万人に対し合法的なドナーは毎月130人程度だという。人権団体アムネスティは、中国では毎年1万件の臓器移植手術が行われており、9割以上が死刑囚から摘出された臓器だとしている。

2005年に中国の刑務所や収容所での拷問調査を行った国連拷問特別調査官マンフレッド・ノーワック(Manfred Nowak)氏は、大紀元英語版の取材に対し、強制労働収容所に監禁されている人の大多数は法輪功学習者だったと述べた。また、法輪功学習者は、拷問被害者の約3分の2を占めるという。

国際批判に係わらず、当局は長らく移植臓器の出所を死刑囚との指摘を否定してきた。伝えられるところによると、温家宝前首相を含む共産党内の一部でもこの問題を忌避し、停止を主張するようになったため、2005年頃からこの嫌疑を認めるようになった。しかし未だに、合意のない臓器の利用については否認している。

米CBSによると、中国衛生省による死刑囚臓器の利用に関する調査は16日にも行われたという。黄氏は「すべての病院で受刑者の臓器利用は廃止されると確信する」と発言した。

「臓器摘出は殺人」医師会の声明

中国当局の態度の変化を受け、さらにこの問題に積極的な動きを見せる団体が文章を発表した。中国の強制的な臓器摘出を阻止しようと活動する医師団体「臓器の強制摘出に反対する医師会」(Doctors Against Forced Organ Harvesting、非政府組織)は18日、『中国の臓器摘出は殺人』と題した文章を発表し、米国政府や市民に対して281法案通過と支持を求めた。

同医師会副代表のジン・ファン医師と顧問のジェシカ・D・ラッソ医師は文章の中で「酷い大量虐殺を終焉を求める281決議案が通過すれば『地球上に現れた新たな悪魔』の姿を露呈させ、悪行を阻止することができる。米国は酷い人権侵害を無視せず、すべての犯罪者に責任を科すとの強いメッセージを、中国に示すことが出来る」と訴えている。

また同医師会はインターネット上の署名サイト「change.org」(英語)で、米国大統領や欧州首相、国際連合宛てに、インターネット上で署名活動を実施し、世界規模で支持を募っている。これまでに7419人が署名した。

(翻訳編集・佐渡 道世)