米総領事館駆け込みの王立軍被告が初公判、薄氏関連情報を提供か

2012/09/19
更新: 2012/09/19

王立軍前副市長の初公判が開かれた成都市中級人民法院。写真は18日撮影(GOH CHAI HIN/AFP/GettyImages)

【大紀元日本9月19日】今年2月に米総領事館に駆け込み、職権乱用や収賄の罪で起訴された重慶市前副市長の王立軍被告の初公判が17日、18日に成都市中級人民法院(地裁)で行われた。即日結審され、次回の公判で判決を言い渡される見通し。

17日には「国を裏切り亡命を図った」ことと、「許可なく捜査手段を利用した職権の濫用」の罪について審理が行われ、「国家機密に関わる」との理由で非公開となった。18日は収賄などに関する審理で公開された。

香港メディアの報道によると、王立軍被告は公判で、売国・逃亡の罪を否認し、米国領事館への駆け込みは命を守るためと主張したという。また、注目されている薄氏の関与について言及はなかった。

収賄について検察側は王被告は立場を利用して、305万元(約3800万円)以上に相当する賄賂を受け取ったことなどを明らかにした。

王被告は重慶市元トップ薄煕来氏の側近で、同事件が引き金になり薄氏が失脚し、政局に大きな打撃を与えた。ほかにも英国人ビジネスマンを殺害したとして、執行猶予付きの死刑判決が下った薄氏の妻・谷開来被告をかばい、証拠隠滅に加担したとして「私情で法をねじ曲げる罪」に問われた。

18日の法廷審理の現場(CCTVスクリーンショット)

一方、同地裁が公判後に出された声明は、「王被告は他人の犯罪行為について手がかりを提供し、関連事件の捜査で重要な役割を果たしたため、情状酌量の余地がある」と述べた。

この「他人」について薄煕来氏のことを指していると見られている。

大紀元が以前から入手していた情報では、薄煕来氏は、中央政法委のトップである周永康氏と、次期最高指導者とされる習近平氏を転覆させる政変を計画していた。その際、党指導者に盗聴機を仕掛け、情報収集していた。今回の公判に問われた職権乱用の罪は一連の盗聴行為を指している可能性が高い。

また、薄氏と谷被告は臓器と死体を売買し、莫大な利益を得たとの疑いもある。谷被告に毒殺された英国人ヘイウッド氏も密売に関与していたが、のちにトラブルが発生し、口封じのために殺害された。王立軍被告は薄煕来氏の腹心で、事情を把握していると見られる。ヘイウッド氏の死後、自身の身の安全を案じて薄氏を告発する資料を持って米総領事館に亡命を試みた。

法律専門家らは、王立軍被告に死刑の可能性は極めて低いとみている。その理由は、「同被告は指導部の他の幹部の極秘情報を多く握っているため、それを提供することで、死刑を逃れるのではないか」という。

「これは政治的案件であり、最終決定権は裁判所ではなく、党指導部にある」との見方は大筋である。

 (翻訳編集・叶子)