忘れられた薄氏の最初の子 後半 自宅軟禁のうわさ

2012/04/26
更新: 2012/04/26

【大紀元日本4月26日】中国のネット上で伝わる情報によれば、薄熙来元重慶市トップの最初の息子・李望知氏のコロンビア大学公共政策大学院(SIPA)への入学には、中国メディア界の有力者・楊瀾氏による莫大な寄付金が背景にあったのではないかと指摘されている。

楊氏はSIPAを1996年に卒業しており、SIPA顧問委員を務める。中国の富豪番付を発表するサイト「胡潤百富」によると楊氏と夫・呉征氏の合計自己資産は8憶8000万ドルに上ると試算されている。

2002年度冬期のSIPA学報によると、2000年から2001年に陽氏と呉氏は、合わせて35万ドルもの目立った寄付金を送っている。李望知氏の入学と楊氏らの寄付金の関係について、SIPA広報担当は「そのような話は聞いたことがない」と明確な回答を拒否した。

ポータルサイト「新浪」の2001年4月の報道によると、北京大学法学院を卒業した望知氏は、楊氏が代表を務める中国大手投資企業「陽光」のグループ企業に務めていたことが明らかになっている。望知氏はそこで、会長である楊氏の補佐役を担当していたとされている。大紀元は楊氏との連絡を試みたが、いまだに取れていない。

2003年にSIPAを卒業した望知氏は中国に帰国した。中国政府文化部ウェブサイトの資料によると、米シティバンクを含む複数の銀行に勤務したとある。23日付ブルームバーグによると、香港で2006年8月に開催された、米シティグループと地方都市市長との工業団地への投資をめぐる会合の席に、望知氏の姿があったことが確認されている。

また、2010年10月2日付の米紙シドニー・モーニング・ヘラルドによると、中国インフラ市場に興味を示す豪州マッコリ―銀行幹部として望知氏の名前が挙がっている。

自宅軟禁の噂

しかし今年初めから、中国のネット上には次のような噂が広がっていた。望知氏は現在、当局に「経済犯罪」のため自宅軟禁令が出されている。

また伝えられるところによると、薄熙来氏から信頼されていた元部下で重慶市元副市長・王立軍氏は、遼寧省に望知氏を移動させたという。天安門事件学生リーダーで民主活動家・唐柏橋氏は大紀元の取材に答え、「王は、薄氏の息子を拘束し、北京より自身の範囲(遼寧省)に置いておいた方が、身の安全が保障されると考えたのではないか」と仮定した。

李望知氏が自宅軟禁中であるという噂を、確かめるのは困難である。

北京の海澱地区当局の公式サイトによると、2010年、望知氏は法律事務所に所属する弁護士だったという。また2011年には、その法律事務所を妻と経営していたと記録されている。それが公表されている望知氏の最後の職業になる。今月17日に、事務所とされる電話番号の電話に出た男性は、大紀元の質問に対し、非常にあいまいな回答をした。

前出の民主活動家・唐氏は「驚くことではない。中国では(政治事情に絡んだ)話を知るものは、それを明かそうとしないものだ」と言う。

電話に出た男性は、自身が誰であるかを明らかにしなかった。そして「ここではない」と、記者が望知氏の消息を聞かないうちから電話を切った。再び電話を掛けると、その男性は苛立った様子で、記者が望知氏の消息を尋ねると「知らない」とだけ答えた。

「もしまた電話を掛けてくるなら、私は丁寧な回答をしない。こうなるのも当然だろう!」と叫び、電話を切った。

補足情報だが、偶然か否か、SIPA公式ホームページのバナーには、望知氏の2003年の卒業イベント時のものと思われる写真が使われている。写真に写る彼は、左手に携帯電話を握り、卒業の喜びを誰かに伝えているようだった。

(文・マシュー=ロバートソン、アリエル=テェン/翻訳編集・佐渡道世)