中国、「平和発展白書」発表 「核心利益」に6項目

2011/09/07
更新: 2011/09/07

【大紀元日本9月7日】中国政府は6日、「中国の平和発展白書」を発表した。同白書は、中国の平和的発展路線の開拓、全体目標、対外方針・政策、歴史の必然性、および世界的意義の5つの章からなり、あわせて1万3000字にもなる。

中でも、第3章の「対外方針・政策」で、中国の6つの「核心利益」が列挙されている。国家主権、国家安全、領土保全、国家統一、中国の憲法で確立された国家政治制度と社会大局の安定、経済社会が持続的発展を遂げるための基本的保障の6項目である。

同時に白書は、他国が自らの利益を保護する権利を尊重し、中国の発展を実現すると同時に、他国の「正当なる関心と利益」に充分に配慮し、「自らの利益ばかり考慮し他人の利益を損なうようなことは絶対にしない」と記している。

「核心利益」という言葉を、中国は近年外交の場でよく使用する。ラジオ・フランス・インターナショナル(RFI)によれば、この言葉が初めて外交に使われたのは2003年、当時の外交部(省)部長・唐家璇氏が米元国務長官のパウエル氏と会談したときのことで、このとき唐氏は台湾問題を中国の「核心利益」と称していた。

その後、2009年に開かれた米中戦略経済対話で、中国の戴秉国・国務委員(副首相級)は「核心利益」を3項目にまとめた。基本制度と国家安全、国家主権と領土保全、経済社会の持続かつ安定的な発展という内容だった。

この時、「基本制度」が「国家主権」よりも前に置かれたことから、メディアの批判を招いた。翌2010年の12月に、戴氏は再び「核心利益の第一には、中国の国家体制、政治体制、政治安定がある」として、「中国共産党の指導、社会主義制度、中国の特色を持つ社会主義」を第一の核心利益とする文章を発表した。香港紙・明報は当時、「一党独裁こそ中共の核心利益だ」と題する記事を掲載し、この核心利益の定義を批判した。

そして、今年3月に中国政府が発表した2010年度国防白書の「軍事における相互信頼」の部分で、「相手国の核心利益を互いに尊重する」と明確に言及したが、核心利益の定義については、「国家主権、安全、発展利益」と概括的に触れるに止まった。その後5月に、中国軍トップの陳炳徳・総参謀長が訪米した際にも、米中はお互いの「核心利益」を尊重しなければならないと発言した。

翌6月シンガポールで開かれたシャングリラ対話では、中国国防部の梁光烈・部長が中国の核心利益について全面的に述べた。その内容は、中国の国家・政治体制と社会大局の安定、中国の主権・安全・領土保全と国家統一、経済社会が持続的発展を遂げるための基本的保障という3つの項目にまとめられ、依然として政治体制を第一の核心利益に挙げた。

今回の白書では「国家主権」が第一に挙げられているが、中国の外交にたびたび登場する「核心利益」について、米メディアRFIは、これによって中国は国際舞台で強烈な自信をアピールしているという一部の専門家の見解を紹介しつつ、一方では中国政府の危機感を露呈しているとの見方も紹介した。

(翻訳編集・張凛音)