【大紀元日本9月2日】北京市では8月27日、政治改革を主張する政界、経済界、学界、法曹界、メディア業界の有識者100人余りがシンポジウムに参加し、最高指導部に対して、思想コントロールの緩和と政治改革の必要性などを訴えた。
今回のシンポジウムは「建国以来の党の若干の歴史問題についての決議(略称、歴史決議)」を定めて30周年を記念するもの。同決議では文化大革命の過ちを認め、主導者・毛沢東に歴史的評価を下していた。今回のシンポジウムは、30年経った今、文革を評価するなど中国共産党内部で保守的風潮が強まっている中で開かれ、そのような兆候への危機感が示された。
BBC中国語版は政治評論家の見解として、現政権に批判的意見を呈する同シンポジウムは、党内の民主を促すには重要な意義があるだが、一党独裁の枠組みの中で議論を交わしたため、突破的な役割がないと報じた。
参加者には、故・胡耀邦元総書記の息子で、全国政治協商会議常務委員である胡徳平氏のほか、共産党のエリートを育成する中央党校の王長江・主任、中国政法大学の江平・前学長、北京大学光華管理学院の張維迎・前院長、複数の政府メディアの総編集長などが含まれている。
シンポジウムの主催者は、有力誌「南方週末」、中国経済体制改革雑誌社、胡耀邦歴史資料情報サイト、ポータルサイト「テンセントネット(騰訊ネット)」であり、各発言者の主要論点はリアルタイムでインターネットに公表されていた。
胡徳平氏は発言の中、同歴史決議が制定された30年前は、党内で文化大革命と毛沢東・元主席を鋭く批判できたが、30年後の今日では、党内の民主が著しく後退して、自由な思想が強く束縛されているなどと述べた。
著名な法学者・郭道暉氏は、中国共産党政権は最も危険な時期にあると警鐘を鳴らした。
一方、中国社会科学院の于建嶸・研究員は同歴史決議の不備をも指摘した。つまり、最高指導部がどんな過ちを犯したのか、国と国民にどのような災難をもたらしたのか、過ちの根源と再発防止の策など、これらの問題は決議の中で明らかにされていないと同研究員は述べた。
また、同研究員は、「いまの中国では、公民の基本的権利、民主政治、司法の権威、言論の自由などの基本的な価値感も批判されている」と指摘し、30年前よりも大きく後退したという。
「中国税務」誌の張木生・元社長は、中国の30年の経済建設は大きな成果を挙げているが、深刻な問題をも引き起こしていると述べ、踏み込んだ反省が必要だと指摘した。
香港科技大学の丁学良・教授は、「中国には一つの道筋しかない、つまり民主と法治を実現させること。これは避けて通れない道であり、先送りすればするほど、犠牲が大きくなる」と見解を示した。
同教授はBBC中国語版の電話取材に対して、今回のシンポジウムで「歴史決議」の限界について批判的な意見が出たものの、政治改革への提案や、プラス的かつ建設的な政治思想が会議の主流だったと述べた。
また、同教授は、参加者の大半は政策研究と執行を担う主要な政府機関に所属していることから、今回の会議の論点は中国の最高指導部に必ず影響を与えるはずと語った。
外部の政治評論家の間では、中国国内では長年、このような政治的シンポジウムが開かれていないため、政治的に非常に敏感であり、中国の政治改革と未来に強い影響力がある、との見方がある。
一方、香港の有力政治誌「開放」の金鐘・編集長は、「多党制の実現は中国の政治改革のキーポイントであり、最も敏感なテーマである。今回のシンポジウムはこの問題を避けて行われたことから、今の中国では、政治の自由な思想は依然として厳しく束縛されている」と述べた。
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