【大紀元日本11月18日】13日付の湖南日報によると、チベット高原を流れる世界一海抜の高い河川、ヤルンツァンポ川(中国名・雅魯蔵布江)が、12日、中流でせき止められ、蔵木水力発電所の建設が始まった。インドはヤルンツァンポ川下流に位置しており、インド専門家は、同ダムの建設はインド東北部に干ばつを引き起こす恐れがあるうえ、インドにとって時限爆弾のようなものだと批判している。
湖南日報の報道によると、中国で「天河」と呼ばれるヤルンツァンポ川は流水量・落差とも大規模で、予定電力出力は51万kWに上る。総投資額は79億元(約984億円)。チベット初の大型水力発電所となる。2014年から部分的に稼働が開始し、チベット中部地域の電力不足を緩和するという。
一方、ヤルンツァンポ川にダムを建設する計画は、長年インドを脅かしてきた。ヒマラヤ山脈の北側を源流とするヤルンツァンポ川は、中国のチベット高原南部を東進したあと南下し、インドに入り、バングラデシュでガンジス川と合流する。下流のインドやバングラデシュにとって最大の水源ともなっている。
ヤルンツァンポ川が中国域内でせき止められることは、下流の水量に影響し、インドの東北部に干ばつをもたらす、とインド専門家は懸念している。また、干ばつよりも深刻な問題は、ダム建設により貯水や放水の権利が中国側に握られるようになること。インドにとって、このダムは時限爆弾のようなものだという。インドのシン総理も2008年に訪中した際、ヤルンツァンポ川の開発問題についてインド側の懸念に言及していた。
中国とインドは2006年11月に専門家会議を立ち上げ、越境河川の諸問題を処理してきた。ダム建設はインドの社会・経済・生活に大いなる影響を及ぼしてしまうため、当初からインドの専門家は反発していたが、中国側は、北部の水不足を解決するための「南水北調」プロジェクトの一貫として、ヤルンツァンポ川の充足な水量を見逃すことはなかった。
なお、建設阻止のため、武力行使も視野に入れるべきだと主張するインドの学者もいたという。