「ポスト金正日」の行方:急変の場合、中国軍介入=専門家

2010/10/07
更新: 2010/10/07

【大紀元日本10月7日】北朝鮮で三代目の権力世襲が本格化するなか、「ポスト金正日」に対する北朝鮮の動向が注目されている。世襲により北朝鮮の政局に急変が生じた場合、中国当局は率先して派兵し介入に踏み込むとの見解を、台湾大学政治学教授・明居正氏が示した。

本紙インタビューに対し、東北アジア情勢と両岸関係に詳しい明教授は、中国軍部の介入ルートは2つあると指摘する。「ひとつは権力中心部への介入、すなわちピョンヤン(平壌)に直接軍隊を駐在させるルート。もうひとつは核施設への介入、核の制御権を手に入れるルート」としたうえで、中国当局は二つのルートを抑えることで、北朝鮮を完全に支配下に置くと同教授は分析している。

心配される北朝鮮の今後の政局変動の可能性について、明教授は、金正恩(キム・ジョンウン)氏の後見グループの政治野心と金正日総書記の健康状態にかかっていると指摘した。後見人である金総書記の妹・金敬姫(キム・ギョンヒ)氏とその夫の張成沢(チャン・ソンテク)党行政部長に、甥にあたる金正恩氏を倒す野心があるかどうかは未知数であるため、政局の行方も不明瞭だ。また、金総書記の健康が急速に悪化した場合、後継の基盤固めはできず、政局はいっそう不透明性を増すという。

こういった不確定な要素を心配した金総書記は中国当局に頼るしかない、と明教授はさらに分析する。金総書記は中国当局が世襲の後ろ盾になってくれることで安心しており、中国当局にとっても「安定した」北朝鮮の政情が好ましく、双方の考えは一致しているという。

一方、韓国は北朝鮮体制の変化を南北統一のチャンスだと捉えているが、中国当局は決して韓国主導の南北統一を望んでいないと指摘する。

韓国政府も「ポスト金正日」に備えて、北朝鮮情勢に急変事態が発生した場合、直ちに統一局面に進めるよう新たな行動計画を作成している。明教授は、朝鮮半島が韓国主導で統一を図ることは、中国にとって脅威的なことであると指摘する。核兵器を持つ北朝鮮は中国の外交の切り札であり、南北分断の情勢で、中国は「漁夫の利」を得ているという。韓国による統一が実現した場合、経済力や民主政治に恵まれ、核兵器を保有する米国陣営の国と隣り合わせとなることは、中国当局にとって決して望ましい事態ではない、と明教授は分析している。

また、6カ国協議の行方も明教授は楽観視できないと指摘した。「アメリカは北朝鮮に核兵器を放棄するよう要求しているが、北朝鮮はそんなアメリカに攻撃しない約束をしてもらいたい。両者の矛盾が短期間で解決できる可能性は低い」と同教授は述べた。

さらに、明教授は、金ジョンウン政権になった場合も北朝鮮が挑発行為を行う可能性はあると話し、「政権基盤がしっかりできている場合は、自分の力試しに挑発行為に出る可能性がある。政権にゆるみがある場合も、自分の力を敵に見せつけるために、このような行動に出る可能性も存在する」と分析している。

(記者・文龍、翻訳編集・張YH)