【大紀元日本6月9日】中国と北朝鮮の国境地帯で4日、北朝鮮の国境警備隊が密輸者らしき中国人に発砲、3人が死亡、1人が負傷した。8日、中国外交部の秦剛・報道官は政府声明文の中で、北朝鮮に外交抗議を行ったことを明らかにした。
射殺された中国人は丹東市在住で、4日、船で国境となる「鴨緑江(ヤールージャン)」を渡る際に、北朝鮮側に射殺された。韓国メディアによれば、彼らは銅線を北朝鮮に密輸しようとしていたという。
社会主義国の長年の盟友である北朝鮮に対し、中国政府が公に抗議するのは、極めて異例である。両国の国境地帯で以前にも民間人の死亡事件があったが、中国政府は公の発表を行わなかった。
北朝鮮の元大学教授で今は韓国の「北朝鮮知識人聯盟」の会長を務めるキム・ヘン・グァン氏は、ロサンゼルスタイムズの北京駐在記者に、「公での抗議はとても珍しい。通常、両国間での非公開な陳謝または弁償にとどまる」と話した。
キム・ヘン・グァン氏によると、通常、北朝鮮警察は密輸者に発砲しない。少なくとも中国人には発砲しない。「一般では、彼らは北朝鮮人にしか発砲しない」という。
3月26日、北朝鮮の魚雷が韓国の哨戒艦「天安」を撃沈させ、46人の韓国海兵隊員を死なせた。この事件について、中国政府は北朝鮮への非難を避け続けており、その態度に、韓国と米国はいら立ちを募らせている。
「哨戒艦事件の敏感な雰囲気を緩和するため、中国は今回の抗議で、ガラス張りの公正な対応姿勢を見せる意図が窺える」と、「朝鮮日報」が北京の外交筋の話を引用して報道した。
一方、北朝鮮への抗議と同日、今月末に黄海で行われる韓米合同軍事演習に米第7艦隊所属の空母「ジョージ・ワシントン」(9万7千トン)が参加することについて、中国メディアは韓国政府を強く非難した。
「朝鮮日報」の報道によると、政府系の「環球時報」は同日付の社説で、韓国が米国の空母を引き込み、黄海で武力を誇示することを、中国国民は容認できないと批判。
さらに同紙は、「朝鮮半島問題で中国の理解と協力がなければ、韓国は如何なる行動を取ろうとしても足を踏み出せない。韓国が今すべきことは、朝鮮半島の緊張を緩和する方法を探ることだ。米国を引き込んで同地区の緊張を高め、中国に圧力をかけようとすれば、問題を更に複雑にさせ、対立が大きな範囲で波及してしまう」と警告した。