<上海万博>ニセ入場券・ニセ身障者  「最も大切な展示品は国民のモラル」=著名教育者

2010/06/02
更新: 2010/06/02

【大紀元日本6月2日】混雑や「ニセ身障者」事件。モラルの問題が問われる騒動が万博会場で相次いでいる。5月28日に、万博会場で、中国の著名な教育者であり、原子核物理学者の楊福家(ヤン・フージャー)教授が講演を行い、「万博での最も大切な展示品は国民のモラルだ」とモラルの向上の必要性を訴えた。

中国国内メディアの報道によると、最近「ニセ入場券」が会場で発覚している。また、使用済み入場券を未使用と偽って会場付近で売りつける手口も摘発されている。

さらに、長い行列を回避するために、車いす通路を悪用する「ニセ身障者」の存在も、大学生の上海市長への投書で明らかになった。車いす通路を利用し、世話人と称する仲間と優先的に入場した後、車いすから立ち上がり元気に参観を始める人がいたという。

上海「東方早報」は、「車椅子を利用して入場する10のうち、少なくとも2人は健常者」と、会場警備の話を引用して報道している。また、上海万博ツアーを組む旅行会社は観光客を誘致するため、列に並ばなくてもいいように車いすを用いる方法をすすめた業者もいるという。

隠せきれなかった国民のモラル問題がネット上で注目され、中国の教育体制を批判する声が上がる中、著名な教育者で原子核物理学者の楊福家(ヤン・フージャー)教授は万博会場で、「谷底に落ちた国民の素質」と題する講演を行い、経済発展で「立ち上がった中国人は尊厳のある立ち方をして欲しい」と国民モラルの向上を訴えた。

「万博最大の展示品は国民のモラルだ」と同教授は指摘。「万博を開催する上海市の勇気には頭が下がる。万博を主催することは、この国民の美しい面と汚い面の両方を世界に見せることになるからだ」と皮肉半分で話した。

「ヨーロッパ人や日本人は列に並ぶと本を出して読み始める。万博会場でも地下鉄の駅でもそんな風景が見たいものだ。高層ビルを見ている限り先進国と変わらない。しかし、交差点に立つとここは上海だとすぐ分かる。国民のモラルの差はこんな所から窺える」と教授は指摘し、今後30年間はこの差を埋めるための教育に力を入れなければならないと楊教授は訴えた。

また、海外でも中国人のモラル問題が取り沙汰されている問題を取り上げた。米国のある大学で十数人の中国人学生がカンニングで退学処分を受けたことや、イギリスのある銀行は一部の中国人学生が返済しないまま連絡がつかなくなったことを原因に、中国人向けのクレジットカードの発行を拒否している事実を指摘。さらに、学術界でも、ニセ卒業証書にニセ成績表、パクリ論文など多くの実例を挙げて紹介した。

一方、評論家やブロガー作家が国民のモラル問題を提起しているのは、社会体制に起因しており、社会のモラルの風潮は、政府幹部の信用や教養に大きく影響されるとの指摘や見方も多く見られる。

(翻訳編集・張YH)