【大紀元日本5月28日】欧州の主権債務危機が拡大し、世界経済が二番底に陥る懸念が強まる中、米金融大手のゴールドマン・サックスは、中国政府の負債総額(09年末時点)は同年の対国内総生産(GDP)比で48%に達しており、中国は債務大国だと警告した。
5月13日付の中国国内紙「国際金融報」によると、ゴールドマン・サックスが発表した最新研究レポートでは、2009年末時点で中国政府の総負債額は15・7兆元(約211兆1650億円)に達し、同年GDPの48%を占めていると指摘した。中国の年間財政収入の6兆元と比べ、負債総額はその2・62倍だ。
その総負債額の内訳として、▼政府が発行する国債が、GDP比で20%、▼地方政府の資金調達プラットホーム(地方政府が事業資金を調達するために作った会社)と地方政府の負債が、GDP比で23%の約7・8兆元、昨年同期より70・4%増、▼2000年から01年までの、商業銀行から切り離されたが依然資産管理会社の帳簿に残されている不良債権が、GDP比で5%(約1・6兆元)となっている。
同日、中国主要経済紙「第一財経日報」のベテランコメンテーター楊小剛氏は国内紙で、「地方政府の巨額債務は、蘇ろうとする中国経済の足かせとなる」、「中国政府は巨額の貸付けを通して経済を刺激しているが、GDP比の労働者報酬は年々下がっている。中国はギリシャ同様、巨額の政府債務を抱えているうえ、国民の収入と福利厚生は上がっていない」と分析、「このような財務危機が一旦爆発したら、その危険性と深刻さはギリシャ以上であろう」と警告を出している。
とりわけ、地方政府資金調達プラットホームの負債の急増が目立つ。中国銀行業監督管理委員会(銀監会)の劉明康・会長は4月20日に開催された同会の「2010年第2四半期経済金融情勢分析報告会」において、09年末時点の地方政府資金調達プラットホームの負債総額が7・38兆元に達して、前年同期比で70・4%と急増したと示した。また、5月15日付の「新民網」によると、一部の地方政府資金調達プラットホームの負債率がすでに94%に達して、さらにある地方政府資金調達プラットホームは400%に達しているという。
ゴールドマン・サックスは、中国地方政府の財政収入の増長ペースは債務の増加ペースに及ばないことから、今後地方政府の負債急増リスクが非常に高く、90年代末に地方政府の債務増加で中国各銀行の資産の質を悪化させた結果、不良債権が急増したという最悪なケースが再び起きる恐れがある、との懸念を示した。
地方政府の負債急増問題に関して、銀監会は「2010年第2四半期経済金融情勢分析報告会」において、地方政府資金調達プラットホームの融資問題を今年銀行業が直面する3大リスクのトップリスクと見なしていることを表明した。銀監会はすでに、国内の商業銀行に対して、6月末までに融資を受ける先の資金償還能力及び抵当状況を改めて審査するよう命じたという。
一方、4月14日から打ち出された中国の不動産価格抑制政策が、今後地方政府の財源確保に大きな影響を与えるとの懸念が出ている。土地利用権の譲渡金が地方政府の主要財源となっている現在、一部の地方政府の財政収入の半分以上は不動産関連のものであるためだ。