銃殺刑廃止 毒物注射処刑拡大か?=中国

2009/07/30
更新: 2009/07/30

【大紀元日本7月30日】最近になって、北京市が年末までに従来の銃殺刑を廃止し、毒物を注射する「注射刑」に切り替えることがわかり、外部からは死刑囚からの臓器摘出を拡大するための布石ではないかとの懸念があがっている。

環球時報などの中国メディアによると、関係者は公開処刑方式で執行される従来の銃殺刑には弊害が多いと指摘し、これからはすべての死刑を注射刑で代替することを明らかにした。中国政府は1996年から銃殺刑と注射刑を併行しているが、中小都市ではいまだに銃殺刑が主流である。

この事実が明らかになり、ネット上では、「薬品注射刑のほうが銃殺より苦痛が少ない」とする賛成派とがいる一方、「臓器摘出を容易にするための事前作業ではないか」と反対意見を持つネットユーザーも少なくない。

アムネスティ・インターナショナル香港支部のマーク・エリソン(Mark Allison)氏は注射刑の拡大に憂慮を示した。エリソン氏は、「(薬品注謝は)銃殺より迅速で効率的に臓器を摘出することができる」とし、「中国警察と裁判所、病院が臓器売買に関与した有力な証拠を確保した」と明らかにした。

注射刑執行=死刑バス

実際、中国では注射刑を執行する「死刑バス」が運行中である。英日刊紙デイリーメールは去る3月重慶金冠自動車が生産した一台当たり6万ポンド(約935万円)の死刑バスについて報道した。死刑執行過程は次のようだ。刑務所で鎮静剤を打たれた死刑囚を死刑バスで移送し、ベッドに縛る。医療チームは死刑囚に意識を失わせ、呼吸を停止させ、心拍を止める3種の薬品を注射する。

中国政府が大金をかけて死刑バスを製作するのは、臓器を迅速かつ安全に摘出するためであると見ている。注射刑は銃殺刑に比べ、臓器保存状態が優れている。法医が死刑囚の死亡を確認すると、医療チームは眼球、角膜、腎臓、肝臓、すい臓、肺、心臓などを摘出し、臓器移植を待つ病院に搬送する。

上海,北京,広州など大都市に位置している臓器移植専門病院には中国の富裕層のほか、韓国、日本、シンガポール、台湾などの国、地域から来た「臓器移植ツアー客」が待機している。 外国人患者らの大部分は中国人の名前を借りて入院し、6万3千ドル(腎臓)~16万ドル(心臓)支払って手術を受ける。

出処不明な臓器数万個

06年7月、中国衛生部は外国人に対する臓器移植手術を禁止するとしたが、本紙取材の結果、06年8月、07年11月および09年1月に、禁止令以降も相変わらず、密かに手術を行っているという事実を確認した。

06年11月、中国衛生部・黄潔夫副部長は広東省広州市で開かれた「人体臓器移植技術臨床応用委員会」会議に参加し、「臓器移植手術に使われる臓器の大部分は死刑囚から」と公に認めたことがある。 これは06年7月、中国政府が死刑囚と法輪功学習者の臓器を本人の同意なしで摘出しているという疑惑が国際社会で提起されたことに対して見せた反応であった。

だが、アムネスティ・インターナショナルによると、中国の死刑執行数は毎年2千件前後で、1万件に上る臓器移植総件数には、はるかに及ばない。 06年、「中国法輪功学習者臓器摘出疑惑調査報告書」を発表したカナダ調査団によると、00年~05年までに行なわれた6万件の臓器移植の中で、4万1千500件の臓器の出処が不明だという。 カナダ調査団は臓器移植が法輪功弾圧開始以後に急増した事実に注目し、この4万件の臓器は法輪功学習者から強制摘出したものだと見ている。

(翻訳編集・明吉)

関連特集: 国際