中国:広がる貧富の格差

2006/10/10
更新: 2006/10/10

【大紀元日本10月10日】

富豪たちの財産はいくら?

米国のメリルリンチ投資銀行から発表された世界財産報告によると、中国では30万人の百万長者が5300億ドルの財産を持っており、これはペンタゴンの1年間の財政予算よりも多いという。この数字は中国の富豪の投資財産だけを統計したもので、個人の不動産は含まれていない。北京社会科学院の胡必亮氏が別の計算方法で、不動産を含む全財産を統計した結果、中国で100万ドル以上の財産を持っている人は、500万人いることが分かった。

貧困層の生活実態

中国人の平均月収は、約15000円である。中国共産党当局が公表した統計結果によれば、8000万人の中国人は依然衣食を確保できないほどの貧困生活を送っている。また、全人口の60%を占める農村人口は、前世紀90年代のレベルの消費水準に留まっており、彼らはブランド品と無縁であるだけではなく、医療費や教育費などの必需費用を得ることさえ困難な状態に置かれている。

貧富の格差は警戒線を超過

国連開発計画(UNDP)から公表されたデータによると、中国で現在のジニ係数は0・45であり、総人口の20%を占める貧困層は、その収入と消費の比例が全体の4・7%しか占めていないのに対して、総人口の20%を占める富裕層は、収入と消費の比例が全体の50%を超えている。国際公認のジニ係数の警戒線は0・4であり、中国の貧富の格差はすでにこの警戒線を越えており、しかも引き続き拡大する勢いを示している。ジニ係数0・4の警戒線を超えれば、社会で衝突が発生しやすくなると考えられている。

億万長者の蓄財方法は権力に依存

最近、中国国務院研究室、中央党校研究室、中国社会科学院などの部門により行なわれた社会経済状態調査の結果によると、都市部の高級、中級の公務員(権力階級)の収入は、すでに欧米諸国の国家公務員および中級階層の収入を超えている。さらに、高級官僚の子弟たちは、金融、外国貿易、国土開発、大型工事、証券などの五大経済部門を掌握しており、3000人の高級官僚の子弟は、2万億元(約30兆円)の資産を所有している。例えば、広東省の大手不動産12社は、すべて高級官僚の子弟が支配しており、上海市の大手不動産10社のうち9社は、高級官僚の子弟が支配している。大手建築業者15社の中で、2社が国有企業に属する以外、13社は高級官僚の子弟が支配している。江蘇省の22社の大手不動産業、15社の大手建築業者は、すべて高級官僚の子弟が支配している。支配人の親は、現職の副省長、省人民代表大会の副主任、元の省委員会の副書記、元の省裁判所の院長などである。

億万長者の富豪はどの国にもいる。民主主義国家の富豪たちは、多くが勤労と知恵に頼って財産を蓄積するが、中国の富豪たちは、多くが権力に頼って財産を蓄えることができた。中国で普通の庶民はこのようなチャンスになかなか恵まれない。

(従真)