【大紀元日本6月12日】台湾「中国時報」引用の北京消息筋によると、中共中央宣伝部(以下、中宣部)は9日、大陸各メディアに対して台湾政情に関する論評文章の掲載を禁ずる指令を下達したという。分析によると、同指令は、台湾式の民主化が大陸民衆に影響する政権転覆の懸念を排除するだけでなく、中共自身の利益を守る現状維持の要素も含めた決定であるとみられる。
5月からのこれまで、台湾の政局事情は、北京、上海、広州などを始めとして大陸各メディアによって大々的に報道され、評論文章の多くが発表された。これらの新聞報道や評論により、大陸民衆の多くが民主化の問題について再認識した。特に、台湾大統領の婿・趙建銘氏がインサイダー取引事件で逮捕された報道は、中共指導層「太子党」と境遇が違い、大陸民衆が台湾社会の民主的法治をさらに認識し、国内で議論を引き起こしたという。
「中国時報」の分析によると、中共の同指令は、国内の政権転覆を単に懸念しただけでなく、北京当局とワシントン当局とが、両岸関係で「現状維持」という共同認識に到達した後、さらに台湾の内政問題でも「現状維持」の方向で一致したことが背後にあるとみられる。少し前に、駐台湾米国協会(AIT)理事長・薄瑞光氏は陳水扁・台湾総統と会見した際、陳総統から※「四不」を保証され、米国務省も陳氏の地位を「総統」と再確認した。
中国時報は、今回の台湾政局のスキャンダルは、台湾独立への急進速度を削減する外、中共当局にとって(特に)利益はないと分析した。中共当局にしてみれば、国民党陣営が推し進める(大統領)罷免の成功率は低く、却って台湾独立急進派と見なされる呂秀蓮・台湾副総統の気勢を助長する恐れがあり、中共当局は呂氏の造反に全く思いを致していないという。
これから2年間の台湾政局と国益を考慮し、中共当局は「現状維持」を選択し、「四不」を打ち出した陳・蘇ラインを選択、(両岸)政局を混迷させず、ポスト呂路線を用心排除したといえよう。情報筋によると、同指令の表面的意義は「立場を明らかにしない」であるが、深い意味では「陳政権を打倒せず」にあるとみられる。
※四不…台湾の陳水扁総統が2000年5月20日の総統就任演説で表明した対大陸の原則。中国語では「四不一没有」という。五つのノーとは、中国が武力を行使する意図がないかぎり、任期中は、①「台湾独立」を宣言しない②「中華民国」の国名は変更しない③「二国論」(李登輝前総統が提起した「台湾と大陸は特殊な国と国との関係」論)を憲法に盛り込まない④「統一か独立か」の現状変更を問う住民投票は行わない(以上“四不”)⑤統一の道筋を定めた「国家統一綱領」や総統の諮問機関である「国家統一委員会」の廃止の問題は生じない(“一没有”)というもの。 「現代中国事典」より抜粋
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