中国人集団自殺、シドニー難民留置センター

2005/06/20
更新: 2005/06/20

【大紀元日本6月20日】6月18日午後2時ころ、ニュー・サウス・ウエールズ州シドニー市のヴィラウッド難民留置センターで中国人集団自殺があった。同センター2号棟に抑留されていた中国人女性・黄小娜(音訳)さんが手首を切り自殺を図り、3号棟に抑留中の中国人男性ら12人も同様に手首を切った。黄小娜さんは失血多量により重体。また、センターに抑留されている60人から70人の女性らもパニックに陥り、一人が心臓発作で黄小娜氏と同時に付近の病院へ運ばれた。

 難民行動連盟のジャマール・ダウド氏(Jamal Daoud)によると、内部からの情報では、女性二人が病院へ運ばれたが、男性ら12人は3号棟前の芝生に残されたまま、病院へは搬送されていないと話した。2時間後の午後4時ごろ、男性らは一人部屋の1号棟へ移動された。

 センターにいる中国人からの情報によれば、自殺を図った人達が病院の代わりに1号棟へ移動された時は、治療を受けるのではなく、懲罰を受けることを示すという。

 今回の集団自殺事件に対して、オーストラリアの主要メディアはセンターに集まり、事件を一斉に報道した。

 センターにいる中国人の話によれば、今回の自殺には二つの原因があるという。一つは、ジョン・ハワード豪州首相が、17日の記者会見で発表した新難民政策で、子供連れの場合はセンターを出て地域社会に出ることができ、二年後に状況を見直すとしたが、基本的には抑留者の身分であることにはかわらないことから、中国人抑留者が将来を悲観したとみられる。

また、もう一つの原因は、数週間前に中国政府関係者4人がセンターを訪ねたことに関連があるという。その4人と接触した抑留者らは全員別の小部屋に監禁され、外界の接触を一切断ち切られた。彼らは重度の精神的苦痛を受け、非常に怯えていたという。その後、オーストラリアのメディアや人々の関心が寄せられたことにより、監禁された中国人らは元の部屋へ戻された。彼らのほとんどは、センターに1~2年以上抑留されており、難民申請を提出している。しかし、センターを訪れた中国政府関係者らはオーストラリア政府に対して、抑留者らを中国へ強制送還することに協力するとしたという。

中国政府関係者が訪れてから、センターにいる中国人は、オーストラリア移民局と中国政府による対応に不安を抱き、びくびくしながら日夜落ち着かず、さらに、オーストラリア首相の新移民政策が追い討ちをかけた形で、今回の集団自殺が起きたとみられている。

(シドニー=駱亜/撮影・喜蓮)
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