中国の教科書改ざんは、日本よりもはなはだしい

2005/04/27
更新: 2005/04/27

【大紀元4月24日】(ワシントン=VOA記者斉之豊)過去三週間に、日本政府による一部の歴史教科書の改ざんへの批判、そして日本が第二次世界大戦における侵略行為について謝罪していないと抗議するデモ活動が、中国各地で行われた。この反日デモについて、中国国内では、一部の評論家が「歴史の改ざんについて言えば、中国の官製歴史教科書は日本右翼の編集した歴史教科書よりも問題点が多く、日本を抗議する前に、自国の重要な歴史事実が改ざんされることについて注目しなければならない」と指摘した。

今日の中国の民衆は日常生活において、官僚の汚職の横行、環境汚染、多額な教育費の負担のために苦しむ民衆生活の破綻、公共医療制度及び労働者の権益が保障されない現状、そして政府に住宅地を奪われるなどの諸問題に直面している。これらの身にしみる苦痛に対して、中国民衆はデモ行為に出なかったが、日本右翼による歴史教科書の改ざんのため、かえって多くの中国民衆が抗議するようになったことは、実に理解に苦しむ情況であると中国問題の観察者は言う。

これについて、「日本の教科書改ざんよりも、中国では人々をさらに苦しませてきた問題はたくさんなる。しかし、目下の中国の政治環境のでは、人々の言論の自由が制限されているため、民衆は自由に意見を述べることができないのが現状である。特に中国の大都市では、パレードはもちろんのこと、これらの話題に触れるだけでも身に危険が降りかかる恐れがあるため、人々は避けたがる傾向にある」と北京評論家劉暁波氏が言う。

中国のその独特な政治環境のため、一部の独特な“愛国者”を生み出す結果となった。国内の評論家はこれらの“愛国者”を“愛国泥棒”だと呼んでいる。これらの極端に走る愛国者たちには一つの特徴がある。それは、この人たちが大学生などの比較的に若い年齢層に集中し、生活にゆとりのある仕事につくため、彼らは個人的な利益を重視する反面、なにについて言論してはいけないのか、どこまでの言論なら許されるのかもよく知っている。そのため中国社会の弊害について、彼らは沈黙を保つか、あるいは無視するような態度をとっている、と北京評論家の劉暁波氏が指摘した。

「近日に行われた反日デモは、日本右翼の歴史教科書改ざんに抗議しているように見えるが、実際そこには中国の政治問題というより根本的な原因がある。長年の教育宣伝の中で、日本という敵国を樹立させることで、中国公民の政治への批判をかわしてきた。そのため中国人に許された言論の自由とは、反日運動とサッカー試合に限るといわざるを得ない」と評論家は指摘する。

「歴史を大幅改ざんするのはただ日本固有の問題ではなく、それは中国をも含めたアジア諸国に普遍的に存在する問題である。中国の官製歴史教科書における改ざん問題は、日本の改ざん問題よりもはるかに悪辣な性質を持っている。なぜなら日本が民主国家であるため、日本右翼勢力の改ざんした歴史教科書は数ある教科書の中の一部分に過ぎない。それに対して、中国の教科書制定は政府に独占されているため、歴史事実を歪曲し、さらには抹消するなどして、全国統一の教科書を制定することなどは、日本では考えられないことである。」と評論家は指摘する。

中国人民教育出版社の出版した歴史教科書には、歴史を改ざんする記述は多々ある。例えば、中国近代史の中で、1957年に50数万の知識人を“右派”として弾圧することで、多数の死者を出したことや、1958年から1961年までに、中国の執政問題のために引き起こした数千万の人民が餓死した史実も記述されていない。一部の教科書の中でたとえ言及したにせよ、それは数行の記述に過ぎず、餓死者の具体的数字も挙げられていない。

「日本の歴史教科書改ざん問題を批判する前に、まず中共に改ざんされた、歪曲された歴史を認めなければならない。それから日本人が靖国神社参拝を非難する前に、私たちの首都北京には、毛沢東記念堂という靖国神社以上に邪悪な場所があることをはっきりと認識しなければならない。毛沢東の統治の下で、毛沢東に殺された中国同胞の数は、日本が中国を侵略する際に殺した中国人の数をはるかに上回っている。1958年の大躍進から空前の凶作、そして10年も続いた文化大革命のため、数千万もの中国人が死亡した。中国人は日本人が靖国神社参拝に対して憤りを感じるが、毛沢東記念堂に対しては何も感じない。中国人が日本人に殺された歴史をいつまでも教育し続けてきたに対し、毛沢東政権に虐殺された数千万人の中国人が無視されてきた」と評論家・余潔氏は指摘する。

中国各地の民衆の反日感情を引き起こした主な要因の一つとは、日本政府が第二次世界大戦に、中国で犯した暴行について謝罪しないと宣伝する中国のメディア報道である。しかし実際のところ、日本政府はこれまで何度も謝罪し続けてきた上、4月22日に、日本の小泉首相が再び侵略行為について、謝罪していた。

これに対して、中国共産党は今日まで、数千万もの中国人を死なせたことについて、一度たりとも謝罪していない。中国政府の一貫した見解によると、中国共産党が人民にもたらした多大な苦難とは、“前進中の錯誤”であり、“社会主義の建設を探索するための学費である”としている。