日中合意文書裏の江・習闘争

2014/11/10
更新: 2014/11/10

【大紀元日本11月10日】日中両国政府は7日付の合意文書で、東シナ海の領有権問題に異なる見解を持っていると確認し、「不測の事態を回避するため」、危機管理体制を構築することに同意した。

中国共産党政権の最高指導部が内部分裂しているのは周知の事実である。江沢民派習近平陣営の「腐敗撲滅運動」を阻止するため、日中の対立を激化させることで、再起のチャンスを狙っている。すなわち、習近平政権が両国衝突の過程で不利な状況に陥ると、江派は「漁夫の利」で習氏を下ろし政権の主導権を奪還するという構図だ。以前、江派はすでに一度、このような布陣をしいた。

両国政府は今回、中断している政治、外交及び安全問題の対話を徐々に再開することに同意し、合意文書は「歴史を直視する」とも明言した。習近平陣営にとって、同合意は両国関係の改善を意味し、今後、政権内部で絶えず騒ぎを引き起こしてきた江派勢力を排除することに専念できる。

2012年末、軍のトップ就任以来、習近平・党総書記(国家主席)は「戦闘できる、なお、勝利できる」と軍に対してこの指示を度々通達した。もし、日本をけん制する意味でなければ、「その目的は何か」と人々は当然知りたくなる。

元最高指導者・江沢民氏の支配下で、中国の軍部は汚職腐敗が横行し、官職の売買、「愛人を囲う」など高級幹部たちの淫らな女性関係は公然の秘密となっていた。このような軍隊は無論戦争には弱い、「勝利する」のもなおさら不可能だ。

そして、習氏は江派の軍部勢力からメスを入れた。軍の元ナンバー2の徐才厚氏と軍の総後勤部の元副部長(次官)・谷俊山被告が汚職などの容疑で相次ぎ失脚した。(訳者注:徐氏はいま起訴前の審査を受けており、谷被告は軍検察当局に起訴された)

2012年9月に中国各地で勃発した大規模な反日デモ。多くの日系企業が襲撃され甚大な被害を受け、日本車の持ち主は攻撃の対象となり、傷を負い重体となる人もでて状況は大変混乱した。当時、デモ現場では、中国共産党政権の初期最高指導者である故・毛沢東氏や江派の若手後継者で当時取り調べ中の薄煕来を擁護するプラカードが多く掲げられており、公安・警察当局がデモに直接関与したことを示す証拠も数多くある。

大紀元時報が入手した情報では、元重慶市公安局トップの王立軍の米国領事館亡命未遂事件により、次期習近平政権を転覆させようとした江派の政変計画が発覚し、薄煕来・元重慶市トップは失脚。江派の重鎮である周永康・元中央政治局常務委員も危機的状況に陥った。こうした中、江派は上記反日デモを引き起こし内乱を誘発することで、習近平次期政権が発足する共産党第18回全国代表大会(十八大)の開催を先送りさせようとした。その目的は、当時まだ握っていた権力をキープすると同時に、まだ無期懲役の実刑判決を受けていない薄を助けるためだった。

現在、習近平陣営と江派は水と油のような関係であり、表向きの「統一」「団結」はもはや口先だけで、内部の根深い分裂は明らかである。習氏を倒すことで政権の主導権を握ろうとする江派は、暗殺、政変、各種重大襲撃事件を計画、実行してきており、他国との戦争もその目的達成のためなら、選択肢の一つとなっている。

習氏が今回日本との関係を安定化させ、両国合意文書の発表に至ったことは、対日戦争を発動しようとした江派の夢を打ち砕いた。習氏は外交事務を片づけたことで、新な粛清を始める可能性が高い。江派がいま一番恐れているのはこのことで、その外交分野における勢力基盤も近いうちに一掃されるであろう。

(翻訳・叶子)