20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が8月31日と9月1日、米ノースカロライナ州アシュビルで開かれた。世界経済の安定や成長促進、金融部門の近代化などを協議したが、全会一致に至らず、成果文書は共同声明ではなく議長声明として発表された。
中国共産党(中共)政府は、非市場的な政策や慣行、国際通貨基金(IMF)による監視、途上国の債務処理などに関する記述に反対した。中共政府を除く19か国は、世界的な経済の不均衡を悪化させる政策への対応が必要だとの認識を示した。
過剰な対外黒字国に内需拡大求める
議長声明は、過剰かつ持続的な対外黒字を抱える国に対し、過剰かつ持続的な対外黒字を抱える国に対し、国内消費を制約(抑制)している歪みを取り除き、成長を輸出に過度に依存させる要因となる歪みを除去するよう求め、非市場的な政策や慣行についても、経済的不均衡を拡大させるとして排除する必要性を指摘した。
こうした記述は、補助金を通じて電気自動車(EV)や半導体などの生産を拡大し、輸出を続ける中国を念頭に置いたものとされる。米国が中国製品に高い関税を課したことで、中国製品が他国市場へ流入し、価格や産業に影響を及ぼすとの懸念も示された。
ベッセント米財務長官は会合後の記者会見で、「非市場経済が際限なく安価な輸出品を押し出し続けることは持続不可能である。19か国がこの問題への対処を望んだという事実は、問題の重大さを物語っている」と述べた。
中共政府 声明の4段落に反対
議長声明の脚注によると、中共政府は全31段落のうち、第4、第10、第11、第13段落に反対した。
第4段落は、エネルギー、食料、肥料、重要鉱物などの供給網を円滑に機能させる重要性を指摘した。ホルムズ海峡における自由で安全かつ予測可能な航行の確保についても、世界経済の成長に不可欠だとした。
第10段落は、非市場的政策の排除に加え、過剰な対外黒字国に国内消費を抑制している(妨げている)要因の是正を求めた。一方、過剰な対外赤字国には国内貯蓄の奨励や財政健全化を促している。
第11段落では、IMFに対し、世界的な不均衡の背景にあるマクロ経済上の要因や、歪みをもたらす政策について、監視と分析の一貫性と公平性をさらに強化するよう求めた。
第13段落は、途上国の債務問題に対応するG20の「共通枠組み」について、予測可能性と適時性を高め、公平な負担分担の下で債務処理を迅速化する必要性を確認した。
片山財務相、重要鉱物の輸出規制を批判
ロイター通信によると、片山さつき財務相は会合で、中国が2025年4月に導入したレアアースの輸出規制を念頭に、「重要鉱物の恣意的な輸出規制が世界経済を損なっている」と述べた。重要鉱物の供給を巡る懸念は議長声明にも反映された。
一方、IMFのゲオルギエワ専務理事は、中国も行動の必要性自体は認識しているとした上で、問題の解決には米国の財政赤字是正など、他国との協調も必要だと指摘した。
ロシア出席や米関税政策でも立場に隔たり
会合では、ロシアの参加を巡っても各国の立場の違いが表れた。米財務省がロシアのシルアノフ財務相を招待したことに対し、欧州各国やカナダなどは不満を表明した。恒例の集合写真を巡っては、欧州の代表らがシルアノフ氏と一緒に撮影することに反対した。
欧州諸国からは、米国の関税政策に対する懸念も示された。ドイツのクリングバイル財務相は、「米国の関税紛争やイラン戦争による不確実性は経済成長にとって毒だ」と述べた。
英国やカナダは中国への対抗策を講じる一方、経済関係を全面的に遮断せず、一定の防護策を設けながら実務的な貿易関係を維持する立場を示した。
今回の会議は、金利の高止まりやインフレ圧力、世界的な債券売りが続く中で開催された。貿易不均衡や非市場的政策、重要鉱物、債務問題などを巡る各国の立場の隔たりが残り、共同声明の採択には至らなかった。
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