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欧州で相次ぐドローン侵入 EUが「防空網」を設置

2025/09/29
更新: 2025/09/30

デンマークとドイツは9月27日、25日から26日にかけて正体不明のドローンが再び領空を侵犯したと発表した。ドローンは軍事施設や空港に接近するケースが多く、欧州各国にとって深刻な安全保障上の懸念となっている。

今回の事案を受け、NATO軍事首脳はラトビアの首都リガで緊急会合を開催。各国の国防相は、国境地域に「ドローン防空網」を設置し、侵入機を探知・追跡・迎撃する能力を高めることで合意した。

これは従来の防空体制を、無人機という新たな脅威に対応できる形へと再編する動きの一環だ。

デンマーク国防軍によれば、26日夜には西部カルップ空軍基地を含む複数拠点でドローンが確認され、即応部隊を派遣したという。ドローンの侵入はこれが初めてではなく、22日にはコペンハーゲン空港が数時間閉鎖され、数日間にわたり複数の空港が一時的に閉鎖される事態に発展している。

警察は「市民生活に重大な影響を及ぼしている」とし、デンマーク国家警察情報局の動員を強化した。

デンマークのフレデリクセン首相は、「重要インフラへのこれまでで最も深刻な攻撃」と表現し、ポーランドやルーマニアなど欧州各地での同様の事例と合わせて「ロシアが仕掛けたことだというのは明白」と指摘した。こうした発言は、無人機の使用がロシアによる「ハイブリッド戦争戦術」の一部とみなされつつあることを示している。

同様の事案は周辺国でも観測されている。ノルウェーではF-35戦闘機の主要基地付近でドローンの侵入が報告され、ドイツ北部でも国境地域でドローンが確認された。ドイツのドブリント内相は、「ロシアのドローンは継続的なハイブリッド脅威を構成している」と警告し、防衛センター設立や航空安全法の改正に着手すると表明した。

欧州でドローンの侵入が続発する背景には、軍事目的だけでなく、民間インフラを混乱させ社会不安を引き起こす狙いがあるとみられる。従来の航空防衛網は戦闘機やミサイルを想定しており、小型無人機への対応は不十分だった。今回の「ドローン防御網」構想は、こうしたギャップを埋める試みとして注目される。