【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

スペイン通信大手 スペインとドイツでファーウェイ5G機器を全面排除

2025/07/31
更新: 2025/07/31

スペインの通信大手テレフォニカ(Telefónica)は7月30日、現地の法規に則り、スペインおよびドイツにおいてファーウェイ(Huawei)製5G機器の全面撤去を決定した。欧州全体で中国通信企業への規制や排除が進み、5Gインフラの安全保障強化と市場再編が加速している。

テレフォニカの最高執行責任者エミリオ・ガヨ(Emilio Gayo)氏はロイターの取材に応じ、ドイツとスペインの規則に従って、ファーウェイ機器への依存度を段階的に下げてきたと語った。

欧州 ファーウェイ排除へ審査を強化

EUは2020年初頭から「5Gセキュリティツールボックス(EU 5G Toolbox)」を施行し、加盟国に対して供給業者のセキュリティリスクを評価するよう義務付けた。特に、コアネットワークなどの重要分野では、ファーウェイや中興通訊(ZTE)などの高リスク業者の制限・排除を各国に求めた。

同年7月、イギリス政府は5Gネットワークにおけるファーウェイ製品の新規導入を禁止し、2027年までに既存設備の全面撤去を決定した。これを皮切りに、スウェーデン、フランス、ルーマニア、エストニア、リトアニア、ベルギー、ポルトガルなどが次々と同様の措置を取った。

ドイツ内務省は2023年7月、ファーウェイおよびZTEの通信機器を段階的に排除する計画を承認し、2026年から5Gコアネットワークにおけるファーウェイ技術の使用を停止し、2029年までにアンテナや伝送装置なども完全に排除する方針を打ち出した。

スペイン政府は現時点で公式な禁止令を出していないが、テレフォニカ、ボーダフォン、MasOrangeの主要3社はすでにコアネットワークからファーウェイ製品を外している。特にテレフォニカは全面的な設備更新を完了させ、コアネットワークにおけるファーウェイの存在を完全に排除した。

アメリカの制裁 5G市場の再編を促進

2019年5月、アメリカ政府は国家安全保障を理由にファーウェイを「エンティティリスト」に追加し、同社によるアメリカ技術の利用を制限した。アメリカ政府はファーウェイ製品にスパイリスクがあると指摘し、これによりファーウェイの国際的なサプライチェーンは大きな打撃を受け、5G市場の再編が加速した。

2020年には、当時のマイク・ポンペオ国務長官が「クリーンネットワーク・イニシアティブ(Clean Network Initiative)」を推進した。この計画は「信頼できる供給業者」を基軸に、ファーウェイやZTEなど中国系企業を除外したグローバルなデジタルエコシステムの構築を目指し、5G、クラウド、アプリ、海底ケーブルなどのインフラの安全保障とプライバシー保護を強化する方針を示した。2021年初頭までに60以上の国と約200の通信事業者がこの構想に参加し、世界GDPの約3分の2をカバーする規模に拡大した。

調査会社Counterpoint Researchの分析によれば、2024年末時点でファーウェイは世界の5Gインフラ市場において約28%のシェアを保持し、ラテンアメリカでは依然として主要な供給業者としての地位を維持している。

王君宜
王君宜