企業が描く「金利のある世界」 経団連調査が示す未来の経済像

2024/12/19
更新: 2024/12/19

経団連は2024年7月30日から9月17日にかけて実施した会員企業へのアンケート調査結果を17日に発表した。この調査には184社が回答(回答率12%)し、「金利のある世界」に対する企業の見解や望ましいマクロ経済環境について明らかにした。

調査結果によると、約7割の企業が「金利のある世界」をポジティブに捉えている。今後3~5年にわたり、短期金利1.0%程度、物価上昇率2%程度、円ドル相場120~140円/ドル程度のマクロ経済環境を望んでいることが分かった。

「金利のある世界」とは何か?

「金利のある世界」とは、日本経済がデフレから脱却し、2%程度の適度な物価上昇を背景に、価値の“競創”によって潜在成長率が上昇し、金利が引き上げられる経済環境を指す。具体的には、以下のような取り組みが想定される。

異業種間の連携による新しい技術開発

企業間での生産プロセスの効率化

これにより、日本経済全体の競争力が高まり、持続可能な成長が期待される。

企業の望むマクロ経済環境

調査結果では、以下の通り、企業が望むマクロ経済環境の具体的な数値が示された。

企業が望む「短期金利」、「物価上昇率」、「為替」の水準(経団連データによ基づいて作成)

これらの結果から、企業は「2%程度の適度な物価上昇」と「緩やかな円高」を求めていることが分かる。一方で、大幅な物価上昇は望ましくないと考えている。

今後の期待

報告書によれば、「金利のある世界」において企業には「生産性向上」に向けた人的資本投資と物的資本投資が求められる。このような経済環境では、以下の実現が期待される。

企業や個人による「1%超の生産性向上」

政府や日銀による「2%程度の適度な物価上昇」

企業の「3%超の付加価値創出」

経団連は「金利のある世界」を実現するためには、企業と政府・日銀が連携して適切な政策や投資を推進することが重要だと指摘した。