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経団連がトランプ関税に懸念 日本の真の岐路とは?

2025/04/09
更新: 2025/04/09

7日、経団連会長は記者会見で、トランプ政権が導入した「相互関税」による世界経済への影響に深い懸念を示した。自由貿易体制維持の重要性を訴える一方、その発言には中国共産党政権の主張と類似する側面も見られ、日本独自の立場や戦略の明確化が求められる状況となっている。

2025年4月7日、経団連の十倉雅和会長は定例記者会見で、アメリカのトランプ政権が導入した「相互関税」に対する深刻な懸念を表明した。この関税措置は日米関係のみならず、世界経済全体に大きな影響を及ぼす可能性があると指摘し、「自由貿易体制が維持できるかどうかの岐路に立っている」と危機感を示した。

十倉会長は、戦後の世界経済を支えてきた自由貿易体制の立役者であるアメリカが保護主義的な政策を強化している現状に対し「非常に残念である」と述べた。また、各国が対抗措置を発表することで保護主義的な動きが加速している点を指摘し、世界経済の混迷が深まっていると懸念した。

日本については、「国内市場が小さく、貿易・投資立国として生きていく必要がある」とし、自由で開かれた国際秩序の維持・強化を訴えるべきだと強調。さらに、日本政府には有志国との連携を通じてリーダーシップを発揮することを求めた。

短期的には株式市場への影響など不安感の緩和が重要だと述べ、官民協力による情報収集・分析・発信を促進すべきと提言。中長期的には日本が自由貿易体制維持のため国際秩序の再構築に取り組む必要性を訴えた。

一方で、今回の会見では国内産業への具体的な支援策について十分な言及はなく、自動車産業など輸出依存度の高い分野への具体策が求められる状況だ。

中国共産党の主張との類似性

十倉会長が訴えた「自由貿易体制の維持」や「国際ルールの順守」は、中国共産党(中共)政権が対米政策として掲げる主張と重なる部分がある。中国はトランプ政権の関税措置に対し、世界貿易機関(WTO)ルールに基づく秩序維持を強調しており、十倉会長の発言が日本独自の視点よりも中国側の意図に近い印象を与える可能性がある。そもそも、2001年にWTOに加盟して以来長年にわたってルールを破って来たのは中国である。

日中経済協力への積極姿勢

十倉会長は今年2月、中国訪問団として北京で中共政権幹部と会談し、「日中両国が国際ルールを順守し、自由貿易体制維持に貢献することが重要」と述べている。この発言は、中国側が日本との連携を呼びかける場面で行われており、米国の関税政策への対抗姿勢を強調する中国共産党政権の立場と一致している。

日本独自の立場が不明確

日本は日米同盟を基軸とした外交政策を進めており、経済界もその枠組みの中で発言することが期待されている。しかし、今回の発言は中国寄りとも取れる内容であり、日本独自の立場や戦略が十分に示されていない点が課題だ。特に、日米関係への配慮が不足しているように見えることが懸念される。

日本の真の岐路

十倉会長は日本政府に「有志国との連携」を求めたが、その具体的な枠組みや戦略については明確な説明がなかった。この点で、日本がどのようにリーダーシップを発揮するか具体性に欠けているため、国際社会でどのような役割を果たすべきかという議論が深まらない可能性がある。

十倉会長の発言は自由貿易体制維持への危機感を共有する重要なメッセージではある。しかし、その内容には必ずしも意図的ではないものの、中共政権の主張との類似性や、日本の独自性の欠如といった懸念点がある。

一方、トランプ関税が発信したシグナルは、単なる関税の不公平さを是正するという問題ではないだろう。トランプ政権が見据えているのは、中国共産党をターゲットにした世界的な経済改革ともいえるものだ。世界は選択を迫られている。日本も同様に、自由を求める陣営か、共産独裁の陣営か、どちらを選択するかの岐路に立っている。今、日本のリーダーに求められるのは、目先の経済利益ではない。日本の伝統に沿って恥じぬ選択をするために、将来の進むべき道を読み解き決断をすることだ。失敗は許されない。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。