南米のエクアドルは、7月1日から中国国民に対するビザ免除入国政策を停止する予定だ。米国への渡航を目的にした中国人の入国が急増している事態に対処するためである。
エクアドルは18日、中国との合意に基づき実施されていた中国国民に対するビザ免除を一時停止すると発表した。理由としては、不法移民の数が「懸念されるほど」増加していることが挙げられる。
2023年には、エクアドルは米墨国境へ向かう数万人の中国国民にとって重要な中継地点となっている。多くの中国人不法移民が国境を越え、カリフォルニア州へと入っている。
多くの中国亡命希望者はエクアドルからメキシコのティフアナ市やバハ・カリフォルニア州の他の場所へ向かい、3千マイル以上を移動し、ジャングル、砂漠、都市を通過して、アメリカのサンディエゴ郡に入る。大多数の中国人亡命希望者はアメリカの国境警備隊に自首し、亡命を求めている。
エクアドル外務省は6月18日、Xで声明を発表した。「中国からの移民流入が懸念されるほど増加している」ことに加え、これらの中国国民が「エクアドルを出発点として西半球の他の目的地に向かっている」という。
バイデン政権は、共和党が主張している「国境政策が失敗している」という主張に反論しようと試みており、メキシコや他の通過国に対して、アメリカに向かおうとしている亡命希望者を取り締まるよう圧力をかけている。
アメリカ政府の統計データによれば、近年、メキシコからサンディエゴ郡に不法に入国する中国人不法移民の数が急増しており、現在、この地域はほぼすべての中国国民亡命希望者の主要な通過点となっている。
2024財政年度(2023年10月1日から2024年4月まで)において、サンディエゴのアメリカ国境警備隊は2万7135人の中国人を逮捕した。これは2023年度の1万520人の2倍以上であり、2022年度の947人の約30倍に相当する。
アメリカ当局者は、西南国境で拘束された中国人亡命希望者の大多数が、アメリカの移民法廷の将来の開廷日を待ちながら釈放されていると述べている。
エクアドル政府の声明によれば、中国国民に対するビザ免除の一時停止は「一時的な措置」であるが、政策の再開日については明言されていない。
声明では、入国した中国国民の約50%が「通常の手段で」出国しておらず、ビザ免除協定が許可する90日以内に出国していないことが判明したとしている。
エクアドルは、中国国民にビザ免除を提供している南米大陸の国の中で数少ない一国であり、もう一つはスリナム共和国である。
ワシントンに拠点を置くシンクタンク・「ニスカネンセンター」は、エクアドル政府の公式データを引用して、2023年には4万8381人の中国人がエクアドルに入国したが、2万4240人しか出国していないと指摘している。ニスカネンセンターによると、2万4141人の差は、すべての国籍の中で最大のものだとしている。
エクアドルが中国人に対するビザ免除を取りやめたことについて質問された際、中共外交部の報道官は直接的に肯定も否定もせず、中国側が複数の国と協力して不法移民を抑制していると述べた。
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