生存環境が悪化の一途をたどる中国ではここ数年、ショッピングモールや河川の橋から飛び降りて自殺を図る事件が絶えない。
この事態への対策として、各地で自殺防止のための「監視員」が常駐するようになり、一部自殺が多発した橋では飛び込み防止用の網を設置した。
このほど、「毎日のように飛び込み自殺が発生している」と言われている山西省太原市にある橋「迎澤大橋」はついに、橋ごと封鎖されたことがわかった。現地当局は橋に飛び込み防止用の網を設置している。
この橋で近頃、頻発する「飛び降り自殺」に関するトピックスは24日、中国SNSのトレンド入りして世論の注目が高まっている。
(封鎖された「迎澤大橋」で飛び込み防止用の網を設置している様子、山西省太原市)
中国版のTikTokである「抖音(ドウイン)」で「太原」と検索すると「橋からの飛び込み自殺」に関する大量の関連動画が表示される。
橋で毎日のように自殺者が出ることで、ネット上では「太原(市)大橋の飛び降りリレー」などと呼ばれるようになった。
現地市民によると、「地元でまともな仕事を見つけるのは今やほとんど不可能。一般的月給も3500元(約7万5千円)ほどしかなく(社会保険などに一切加入しない)、この給料ではかろうじて生活できるくらいで、住宅ローンを支払う余裕はない」という。
米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、橋用の飛び込み防止用の網を設置しているのは太原市に限らず、国内の各地で行われている。
また、「河北省にある防護ネットを扱う会社によると、最近は河川への飛び込みを防止するためのネットを注文する顧客が多く、売れ行きが急激に伸びている」という。
太原当局は橋用の飛び込み防止ネットの設置に加え、飛び込み自殺を防止のために監視要員を雇って、昼夜を問わず橋の警備に当たらせていることもわかった。
太原市の地元民が撮影したという動画のなかには、橋の手すりに「飛び込み禁止、違反者は1千元(約2万1千円)の罰金」と書かれた看板があった。
当局の措置をめぐり、ネット上では「なぜ根本から自殺問題を解決しないのか」「様々な救命措置を施す前に、死にかけている人の首を絞めているその手をなぜ緩めないのか」といった非難が殺到している。
SNS上では関連話題をめぐって、各地のユーザーが「うちの地元も河川への飛び降り自殺が絶えない。例年よりも明らかに多いのにそういうのは官製メディアは押さえつけていて報道しない」などと明かしている。
今月14日、広西省南寧市にある橋「邕江大橋」で釣りをしていた釣り愛好家によると、「この橋では30分間に2人も飛び降りた」という。
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