日本沖縄政策研究フォーラム(理事長:仲村覚氏)は、2026年2月23日にスイス・ジュネーブで開催された第61回国連人権理事会における中国の王毅外相の演説を独自に分析したレポートを発表した。同レポートは、中国が「地球規模ガバナンス・イニシアティブ(GGI)」などの枠組みを駆使し、沖縄における日本の主権を国際社会で否定しようとする組織的な「法律戦」を展開していると強く警鐘を鳴らした。
レポートによれば、中国の動きは周到なタイムラインに基づいて進行している。2025年12月に中国主導で「あらゆる形態および現れにおける植民地主義に反対する国際デー」が初開催され、続く2026年2月16日には国連脱植民地化特別委員会(C-24)において、ベネズエラなどが沖縄を念頭に「既存リスト(国連が植民地として扱っている地域のリスト)以外の地域への介入」と「新決議案の提出」を予告し、実務的な布石を打った。これは、現在リスト外である沖縄を「新たに浮上しつつある植民地」として無理やり再定義し、最終的に国連での「沖縄の植民地リスト入り」を強行するための工程表に他ならない。2月23日の王毅外相の演説は、これら現場の動きにトップが「理論的裏付け」を与え、国際社会の公認事項へと格上げする役割を果たしたと分析されている。
レポートでは、王毅外相の演説内容が沖縄の主権剥奪工作とどのように連動しているかを、以下のように指摘している。
「国際的正義」の再定義による日本の主権否定
王毅外相は国連人権理事会での演説冒頭において、「力によって正義に挑戦する一部の国がある」と非難した。しかし、ここで外相が振りかざした「正義」とは、中国独自の強引な国際法解釈を指している。具体的には、日本の沖縄統治の国際法的な根拠となっている「サンフランシスコ平和条約」を無効とみなし、時計の針を「ポツダム宣言」まで巻き戻して「沖縄の主権は日本にない」と主張するものである。中国はこの独自の「歴史的正義」を基準に持ち出すことで、日本への沖縄返還そのものを「不法」と断じ、日本政府による現在の統治権を根本から否定するための論理的土台としている。
「GGI」を利用した「正義の独占」と動員体制
中国共産党(中共)党首・習近平が提唱した「地球規模ガバナンス・イニシアティブ(GGI)」とは、中国主導の「新たな国際秩序」の正当性を主張し、同調する国々を束ねるための巨大な政治的枠組み(プラットフォーム)のことである。王毅外相は演説でこのGGIを強調し、すでに150カ国以上から支持を取り付けている事実を誇示した。これはつまり、たとえ日本政府が不当な介入だと抗議したとしても、「多国間主義」という名の下に150カ国の多数決という数の力を使って、沖縄の国連リスト入りを強行できる動員体制がすでに整っていることを見せつけているのである。
聞こえの良い言葉の「武器化」による介入の正当化
さらに王毅外相は、演説の随所で「主権の平等」や「人間中心」といった一見すると正当な人権用語を多用している。しかしレポートによれば、これも日本の統治権を無効化するための精巧な武器であるという。これらの言葉を盾にすることで、日本政府の存在を意図的に無視し、代わりに中国が背後で養成した活動家たちを「正当な琉球人民の代表」として国連に直接認めさせる理論的バリケードを構築しているのだ。加えて、演説内で日米安保体制を「覇権主義」と暗に非難し、沖縄の基地問題を「現代の植民地主義」や「人権侵害」と強引に結びつけることで、国連という国際社会が沖縄へ介入するための完全な口実を作り上げている。
レポートの結論
レポートでは、結論として、王毅外相の演説を「静かなる宣戦布告」であると断じている。外相は演説の終盤で「行動重視(Action-oriented)」と述べている。これは、もはや議論の段階が終わり、150カ国の賛同を背景に、6月の新決議案提出といった「主権剥奪に向けた一連の作戦工程」の物理的な実行段階へとギアを入れたことを意味するという。
日本人がこの「正義という名のオブラート」に包まれた毒針に気づかない限り、沖縄の主権は国際法と国際世論という見えない爆撃によって根底から破壊されることになると、レポートは強い危機感をもって訴えかけている。
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